投資詐欺の被害は、時に最悪の結末を迎えることもあります。
そして、今回の記事ではこういった最悪の結末を迎えてしまった事案についてお伝えせねばなりません。
テレビ朝日報道局社会部・染田屋記者がインタビューを行い、広く報道したことによってその被害の全貌が明らかになった「投資詐欺に関連する事件」があります。
その原因となったのは、先述の通り暗号資産への投資を謳う詐欺に関連する一連の事案です。また報道の情報や当社に入っている情報を精査すると、この投資先は昨今問題となっているジュビリーエースの関連であることが分かっています。
今回はまず本件事件における概要や男たちの手口を既に報道されている情報に加えて当社が独自に保有する内容、また、その調査結果に基づき解説・ご紹介していきます。
記事の執筆に先立ち、ひとつだけ、筆者がこの記事をご覧の読者の方々へ「おことわり」をしなければならないことがあります。
平素より当社Webメディアでは、あくまでも公正公平の観点から詐欺事案についても事実のみを過不足なくお伝えするという基本姿勢において日々記事を配信しております。
しかし、この記事に関しては、実際にインタビューを挙行した記者と同様、筆者自身が強い憤りを感じながらキーボードを叩いているということです。
そして、この問題で精神的に追い詰められて最終局面で大変痛ましい決断に至ってしまう方もいらっしゃるということです。
記事本編を公開するにあたり、被害に遭われた穂野香さん、またそのご家族様や関係者の方に深い連帯を表明します。
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テレビ朝日発「『お金返して』『何で?へへへ』追い詰めた男の言葉 女性は命を断った」報道に見る本件概要
テレビ朝日の報道に基づき本件概要を整理してご紹介します。
動画でテレビ朝日のニュース映像が残されているため、こちらも合わせて掲載いたします。
動画でご覧になりたい方は、こちらの動画もあわせてご覧ください。
その女性、川上穂野香さんが社会人として働き始めたばかりの夏。
大学の同級生がSNS上で発信していた
との書き込みを読み、大学の同級生という懐かしさからか返信を行いました。
これが全ての発端となりました。
同級生は女性へ男を紹介します。
この時男らは
「紹介すればプラスアルファでさらなる利益が出る」
「1月は130万円、3ヶ月目には1,200万円(を稼いだ)」
など様々な言葉を用いて穂野香さんをLINEグループチャットで畳み掛けます。
この時男たちが提示した投資の最低額は3000ドル。当時のレートで換算すると日本円にしておよそ30万円近い金額となります。
社会に出たばかりの若い女性にとっては大金です。
ちょうど一か月の後、穂野香さんは自ら命を断つという決断に至ってしまいました。
その裏には男たちの悪質な勧誘や大量のLINEメッセージ、その他穂野香さんの関係者と男達の直接対面の場面におけるやり取りなど、様々なことがありました。
男たちの手口
穂野香さんを死に追いやったと言っても決して過言ではない、男たちの投資まがい詐欺の手口を、報道情報および当社へ入っている情報などを織り交ぜてご紹介していきます。
インスタグラムでの勧誘・紹介
報道情報によれば発端は、元同級生の男性によるInstagramへの書き込みでした。
穂野香さんは大学の同級生が書き込んでいたInstagramにおける投稿を読み、そこに返信をした結果、LINEグループで男たちを紹介され大変執拗な勧誘を受けたということになります。
これはいわゆるマルチ商法やねずみ講と呼ばれるビジネスでもよく使われる「ABC(※)」とよばれる手法に近いものがあります。結論から言えば、元大学生の男性は紹介者としての役割が強かったのでしょう。
※一般的にマルチレベルマーケティング・マルチ商法(ネットワークビジネス)内部で使われる用語であり、それぞれ
B:勧誘したいと考えている実働部隊
C:勧誘される人
本記事はこの手法そのものを否定するものではありません。
しかし本件においては状況を見る限り「多勢に無勢」という見方もでき、最初から契約獲得を最重要視した強引な勧誘を行おうとしていたのではないかという推察も成立するでしょう。
消費者金融の借り方まで指南
インタビューの内容を確認する限り、穂野香さんに対して男たちは消費者金融での金の借り方について事細かに指南していることがわかります。
例えば消費者金融の内部事情に明るい人物しか知らないような「個人信用情報の情報アップデートのタイミング」に関する内容しかり、消費者金融の審査がスムーズに進むようにと考えたのか「引っ越し代金としてお金を借りたい」など明らかに虚偽の申告をさせ消費者金融に融資の申し込みをさせていることが伺えます。
「会社がやっている」という逃げ口上
結果として大変痛ましいことに穂野香さんは大量のLINEメッセージはもちろん、投資まがいの詐欺被害にあった事を苦に自ら命を絶つに至ります。
しかし穂野香さんが命を絶つ少し前のことです。
穂野香さんの母親はその日の午後から穂野香さんと警察に相談へ行く事とし、仕事へ出かけます。
(※ここでは諸般の事情を考慮し関係者と表記しますが、穂野香さんと親密な関係にあった男性ということです。)
これが母親と穂野香さんとの、最後のやりとりになりました。
そしてこの警察への相談に先駆け、穂野香さんの関係者の男性が男達と実際に会い、そこで実質的に150万円の返金を要請しています。
しかしこれについても、インタビューの記事によれば男達は馬鹿にしたような態度で関係者の男性に対応し、また
など、終始無責任な対応を取りました。
これは明らかに無責任な逃げ口上でしかなく、筆者も本記事執筆にあたりインタビュー映像を確認した筆者も怒りを禁じえません。
本事案の問題点
本事案の問題点を整理してご紹介します。
これに加えて多くの問題点があり、多くの方々が現在進行形で同じような被害にあっているとも考えられます。
また実際に当社にも同様の事案相談が相次いでいることから、ここではわかりやすく問題点を明らかにしていきます。
追い詰めるような投資の勧誘
そもそも投資は勧誘を受けたにせよ、最終的に投資の勧誘を受けた人がその可否を判断し、実行に移すか否かなど、何らかの決定をするという流れが一般的です。
しかし本事案については相手の判断能力を奪うような、いわば追い詰めるような投資の勧誘が行われていたことが明らかとなっています。
これは投資の勧誘というよりも、多勢に無勢で社会に出たばかりの女性をたたみかけて金銭を巻き上げようとするような悪質な行為と言わざるを得ません。
また、こうした悪質な勧誘は時に人の精神を蝕み「周囲に助けを求める」という本来あって然るべき判断ができないような状況まで追い込んでしまうことも多々あります。
よって、こちらは根本的に投資の勧誘として成立していないものと言って決して過言ではありません。
これはあくまで当メディア編集部の見解ではなく筆者個人の意見となりますが、投資の勧誘ではなく、脅迫や恐喝に近いものがあると断ぜざるを得ません。
勧誘部隊の根本的な無理解
インタビューや報道情報によると、勧誘を行っていた男達は根本的に取り扱っている暗号資産に関する知識が乏しかったと見られます。
また
「先物取引」
「約40%月利として分配」
というキーワードも勧誘の中に出てきたことが分かっています。
こちらについては正確に意味を理解している人物であれば決して勧誘の際に使わないようなキーワードも含まれており、果たしてどこまでの精度で理解をしていたかが明らかではありません。
その他
など今すぐに契約を行うよう畳み掛けるようなやり取りも記録として残されています。
根本的に営業のトークや勧誘の流れの身を理解したグループが穂野香さんに対して強引な勧誘を行っており、売り込んでいる商品に関してはほぼ無理解だったのではないかと推察されます。
なお、通常各種の許認可や各種法令法規に則って行われている金融商品の勧誘においては、
「○○%が確実に儲かる」
などの文言は一切、勧誘文句として使用することを禁じられています。
いわゆる会話の中で生じる言葉の「あや」でさえも厳しく取り締まられ、時にはこれが発端となって契約が無効になったり、勧誘を行っていった大本が営業停止処分を受けるケースもあるほど厳格に禁じられています。
これに対して男達が行っていた勧誘の中にはこういった文言も多分に含まれていたことが分かっており、極めて悪質な勧誘だったということになります。
難しい「詐欺罪での告訴」
穂野香さんの死後、穂野香さんの周囲は男たちを詐欺罪で告訴すべく警察や弁護士へ相談を行います。
しかし最終的には詐欺罪での告訴は難しいとの判断となり、起訴内容としては金融商取引法違反という形での起訴となりました。
最後に待っていた「罰金刑」の重さは
穂野香さんの母親はこの事件があった後、男を商品取引法違反容疑で刑事告発するに至ります。
これは先述の通り詐欺罪での立件が難しいという現在の法制度の現場を配慮した上での告発と考えてよいでしょう。
人命を、そして「幾人」もの人生を結果的に奪っておきながら、罰金刑のみという結果に対し穂野香さんの母親は強い憤りを加害者に感じています。
なお現在、加害者の男は行方をくらましており、全く連絡がつかないということです。
投資まがい詐欺事案・警察が動かない理由
本件事案もしかり、投資まがい詐欺事案が昨今急増しており、今回の穂野香さんの事件のように悲惨な結末を迎えてしまうということもあります。
にも関わらず、こういった事案において、警察が動かないといった声が多く聞かれます。
これはポンジスキームや今回のような事案において、詐欺罪の構成要件を満たしている旨の立証が極めて難しいという現在の日本における法制度の限界があります。
事実、2022年の7月に弁護士等が「投資まがい詐欺撲滅」を主題に掲げる団体を立ち上げています。この団体ではこういった事案における罰則強化や、新たな法律の制定を目指すとしています。
将来的にはこういった取り組みを通して罰則強化や被害の未然の防止策なども出てくることと考えられます。しかし現実的には今日この日・今この瞬間に発生している「投資まがい詐欺」事案において警察が即座に行動を起こすことはやはり難しいものがあります。
投資まがい詐欺の被害に遭ったときは
投資まがい詐欺の被害に遭遇してしまった場合、解決に向けて今この瞬間に取れる行動があります。
とはいえ判断能力を奪われ、また相談する気力さえも削がれてしまうのがこういった悪質な事案における特徴です。
そこでここでは本人が被害者である場合、またご家族様や大切な方が被害に遭われている場合の2パターンに分けて対処法の例を解説いたします。
本人が被害者の場合
まずこの記事をお読みのご本人様が被害に遭われている場合は、当社のような民間の調査会社に相談するという選択肢も、勇気を持ってお持ちいただくことが重要です。
さらに相手方が素性を偽っているケースも多く、詐欺事案に関わっている「本丸」までたどり着けないケースも往々にしてあります。
こういった場合、勧誘を行っている集客部隊もいわゆる「三下」と呼ばれるような低い立場にいる人物であるケースがあり、結果的に勧誘を行っている人物も本丸のことはよく知らないということがあります。
調査会社は警察のような事件犯罪の取り締まりを行う機関ではありません。
しかし探偵業の届出を行っている当社のような調査会社では、こういった事案に関する各種調査も業務の範囲として行なっており、また探偵業の法的な枠組みの中で許可されている調査業務もあることから、結果的に返金要請をするために必要な相手の素性が判明したり、また法的に返金要請を行うための各種行動動線の策定をお手伝いできることも多々あります。
家族・大切な人が被害者の場合
「ご家族様や大切な方が被害に遭われているのではないか」という状況に置かれて本記事をご覧の方におかれましては、まず一度当社までご相談をいただくという方法もございます。
つい感情的になって強く聞き出そうとしてしまったり、責め立てるような口調になってしまうことがあるためです。
こういった場合、被害に遭われている方が相談できる先がないと思い詰めてしまうこともありますので、第三者で尚且つこういった事案の相談を受けることが多い調査会社の担当者が親身にお話を伺うことで、結果的に被害者の方が相談しやすい環境になることもあります。
まとめ
今回は大阪で発生した「投資まがいの詐欺事案」で自ら命を絶ってしまった女性の報道をもとに、時系列を整理するとともに各所でポイントを解説する記事をお届けいたしました。
被害に遭われている方や、ご家族や大切な方が被害に遭われているのではないかとご心配の方はいち早く、適切な相談先へ助けを求められてください。
決してお一人で悩まないようにしてください。これはもう二度と発生してはならない事案です。
当社では無料の相談窓口も開設しておりますので、詐欺師からの被害を回復するためにも、まずは一度ご相談ください。
末筆になりますが編集部一同、本件を取材し、報道にこぎつけられたテレビ朝日の染田屋記者に敬意を表します。