執筆者プロフィール
- ペンネーム:サワヤマ ケント
- 年齢:48歳
- 性別:男
2500万円もの投資用マンションなんて僕には正直必要なかったんです。
悔やんでも悔やみきれませんが、つくづく自分が情けなく思ってしまいます。
僕がなんでマンションを買ってしまったのかというと、すべてはSNSでとある女性と出会ったのがきっかけでした。
僕自身、結婚のタイミングを逃してしまってからは独り身生活に慣れてしまっていて、彼女を作ろうなんてことすら考えてもいませんでした。
普段僕がSNSをやるときは、趣味の写真をアップしたり、プライべーとや仕事のちょっとした出来事をアップしたりと、たいして面白いことをあげているわけでもなく、フォロワーを増やそうとしていたわけではないんです。
正直なところ僕のSNSは誰も見ないような、自分だけのためのアカウントです。
可愛い女の子からDMが届いた
そんな趣味みたいなアカウントにある時、知らない女性からDMが届いたんです。
こんなDMが届くことなんて今までなかったわけですから、最初は「なんだ、詐欺かなんかの誘導だろ…」と思っていました。
でも、相手のことをちょっと気にはなっていたので、失礼の無いようにお礼のDMとフォローだけはしたんです。
すると相手から何度か連絡が来るようになり、私自身が相手に興味を持つようになってしまいました。
何度かDMをするようになると、「直接連絡を取り合いませんか?」と相手から誘いがあり連絡先を交換しました。
このころには何度か相手とDMをしていたし、趣味の会話の延長線上でお互いの性格や仕事のことなどを軽くは知っていたので、なにも警戒心はなくなっていました。
警戒どころかむしろ、似たり寄ったりな面がお互いにあったことも幸いして、相手に対して好意を持っていました。
長澤ま〇みのそっくりさんと連絡先交換
LINEで連絡先を交換すると、私がまず見たのが彼女のプロフィール画像です。
彼女の写真を見ると女優の「長澤ま〇み」にそっくり。正直写真はどこかから拾ってきたんじゃないかって、逆に警戒してしまいました。
それでも疑心暗鬼な状態で、過去の投稿を見ると本人の写真がいくつも出てきて本物だと確信しました。
警戒心が解除されても、次は僕自身がネガティブな状況へと気持ちが移り変わりました。
中年太り体系で冴えない顔つきをしたオッサンなんて興味すらないだろうなと。
阿〇寛、木村〇哉、西島〇俊みたいな、かっこいい中年だったら自信を持てますが、正直容姿は人並み以下です。
それにいくら上場企業に勤めているといっても、Fランク大学上がりで要職についているわけではないから稼ぎが良いわけでもありません。
人並みの収入はありますが、人として何か突出している面が僕はありませんので、それらが頭を過った時にネガティブな気持ちになってしまいました。
でも、そんな僕の気持ちとは裏腹に、彼女はLINEで気さくにメッセージを送ってきます。
「奥さんとか彼女はいるんですか♪」
「仕事は何時に終わるの(*‘∀‘)」
こんな感じのメッセージが何度も届きます。
積極的な女性は初めてで、むしろ奥手な僕からしてみれば彼女の存在は憧れそのものでした。
実際に彼女の年齢を聞くと27歳、私は当時46歳、年の差はあれど、彼女の対応や気遣いに心が奪われました。
楽しみにしてた初めてのデート
彼女とLINE上でやり取りするうちに、突然直球のお誘いが来ました。
そう思い、意を決して彼女をデートに誘うことにしました。
デートスポットなんて僕が分かるわけがないことを見越してなのか、それとも計画通りだったのか、彼女が待ち合わせ場所や飲食店をピックアップしてくれたんです。
時間よりも早く僕が待ち合わせ場所に到着すると、写真で見ていた憧れの彼女すでに待っていました。
僕も気を遣って早めに来たつもりだったのに、彼女はさらに早かった。
理由を聞くと、不慣れな場所での待ち合わせで、もし場所が分からなかったら迷ってしまうと思ったから早めに来たとのことでした。
そんな彼女の優しさに心を奪われつつ、僕は彼女の後を追うようなかたちで目的とするカフェへとついていきました。
ちなみにこのカフェでは特におかしな出来事ははなく、趣味や仕事、プライベートな会話を満喫しました。
デート中に知らない人が・・・
カフェを出る直前に彼女からこんな話がありました。
食事が終わったら一緒に飲みたいから先輩はそこで帰ってもらうからお願い♥」
といった感じで、好意を抱いている僕としては、本当に断るに断れない状況です。
もちろん、僕の答えに「NO」はありません。
むしろ断るという選択はないほどに、彼女の心理作戦にはめられていたことに気付いたころには後の祭りでした。
彼女に手を引かれついて行った先は完全個室の高級イタリアン。
僕の人生の中でこんなお店に入ったのは初。
僕自身にとっては場違いな雰囲気と、そもそもこんなお店の会計が払えるのか戸惑いしかありません。
といっても、憧れの彼女の前で会計でオロオロする姿も見せたくないので、僕なりに気丈な振る舞いをしてはいましたが精神的にはガタガタです。
席に着き、彼女の親友でもある先輩が到着するのを待っていましたが、頭からはお店の雰囲気と食事後の会計しか頭にありません。
石田〇一みたいな彼女の先輩
そんなことを考えていた折、彼女の先輩が突如現れました。
遅れてきたお詫びに、ここのお店の会計は自分が払いますんで気にしないでください! 今日はとことん飲みましょう!!」
僕もまともに自己紹介もしていないのに先輩は一方的に話を進めてきて呆気にとられました。
年の功は30代後半くらいで、見た目は石田〇一を若くした世間で言うところのチャラい男。
ただこの男の話口調は嫌味が無く、私と初見にも関わらずどんどん話を振ってくれる気遣いや、年上として立ててくれ、むしろ好感が持てる幼少からの良い後輩みたいな印象でした。
彼女も先輩とは言いつつも、本人をいじったり、時には説教じみた話をしたりと親しみが感じられる間柄に感じました。
ただこれも演出だったんだなと後々気付かされました。
楽しいデートのはずが、お金の話ばかり…
食事も後半に差し掛かり、お酒も5~6杯ほど飲みほろ酔い気分で楽しんでいた頃に彼女が急に将来について会話を切り出しました。
だからこそ今のうちにお金を稼げるだけ稼いで、将来に備えて資産を作っておけば後が楽になるって思ってるんだよ。サワヤマさんも年長者だからそう思いますよね!」
僕自身、将来のことを彼みたいにそこまで考えてなかったから、そんな急な質問に「そうだね…」としか答えられませんでした。
この「そうだね…」と答えてしまった自分の言い訳をさせて頂くと、彼女が僕に対する印象を少しでも良くなってもらえるように、僕なりに頑張った精一杯の答えでした。
ただ、この一言がその後の後悔に繋がるとは露知らず、出まかせで答えてしまったのは事実です。
先輩の問いに答えたことで今度は僕が二人の格好の的になりました。
私も先輩の考え方を知ってからは、私だけではなく家族の将来を考えて資産運用することにしたんですよ。サワヤマさんは実際どんな資産形成をしてるんですか?」
資産形成? 資産運用?
いったい何の話をしてるの?
私自身、やましい気持ちから口から出まかせを言った手前、何かしら答えずにはいられませんでした。
そんな答えを出した瞬間、周りが氷つき、張り詰めた緊張感が感じました。
決して変なことを言ったつもりはないんですけど、彼女と先輩、この二人の表情は引き気味の表情でした。
逃げ出せない状況に….
僕自身、この場の空気間からすぐにでも逃れたい気持ちでいっぱいです。
でも逃げれないのが現実で、なんとかこの場を回避しようと沈黙の中で次なる話題を模索していると、彼女が急に私に質問を振り出しました。
むしろ貯金みたいな現金資産なんかよりも、利益があって形として残る資産を持たないと損しますよ。得を作ることも大切ですけど、損をしないことが重要だと思いませんか?」
予想はしていたものの僕の答えは「そうですね…」としか言いようがありません。
僕の様子を悟ってか、先輩が話を切り出し「そろそろお開きにしようか」というと、彼女が間髪入れずに僕へとさらに質問を投げ出しました。
知り合ったばかりではあるものの、憧れの彼女からの直球勝負の投げかけに「No」とはまたも言えません。
投資用マンションの営業マンが本気になった
その答えを待っていたかのように先輩がようやく自身の仕事を話し出しました。
手元に現金はなくとも、資産として価値のあるものを持っていれば、銀行の金利以上に現金化した際に手元にお金が残るのが不動産なんです。
毎月の支出管理をしていれば、最低限手元に置いておくお金がいくら必要かわかってるわけだし、必要のないお金は不動産に回す方が将来的にもデメリットって意外とないんですよ。現実的に俺自身も不動産を5つ所有してますからね。」
彼女も間髪入れずに差し込みます。
こんな展開になるとは想像もしていませんから、彼女の問いに言葉がみつかりません。
「お開きにしようか」と言っていた先輩も、不動産の話が始まると会話を止めるどころか延々と話し続けるありさまです。
もちろんこの間はお酒もどんどん進み、僕自身も当然のようにお酒が回り、次第には彼女と先輩の話す不動産投資に興味が生まれてきたことは事実です。
マンション購入後の家賃収入はもちろんですが、税金が還付されるんです。インバウンドの効果もあって日本の住宅はどんどん上がっているんで、今の評価額よりもさらに価値が上がった時に売却すれば大きな利益になりますよ。」
他のお客様にご案内する予定だったんですけど、彼女は私にとってかわいい後輩なんで、その彼女から紹介してもらったサワヤマさんだからこそ超優良物件のオーナーになってもらいたいなと思たんです。」
なんとなくご想像はつくと思いますが、この会話が始まってから終始二人は僕のことを褒めちぎり、そして将来の資産の魅力を懇々と話してきます。
そんなつもりじゃなかったのに
買わされるというよりも、買いたくなるように仕向ける二人の連携の取れたトークと、彼女に対する私の気持ちを上手く利用し、最終的には僕みずからが「買わせてください」とお願いをする結果となりました。
紹介してもらった物件自体がすぐに埋まってしまうからという理由で、仮押さえで簡易的な書面にその場でサインをし、契約は別日の日中に改めてとなりました。
マンションの売買契約も、銀行のローン契約もスムーズに進みました。
ただ、彼女との関係も物件を取得してから2ヶ月ほどは良好でしたが、突如彼女から「仕事の関係で海外に転勤になってしまった」と一方的に言い渡され、それ以降は連絡をしても連絡が着かず、関係はそこで終わってしまいました。
僕としては彼女との将来を考えた上でのマンション購入でしたが、連絡が着かなくなった今となっては持っていても仕方ない。
そう思った僕はマンション購入から数年ほどで手放すことを決意し、物件を買い取ってくれる不動産業者へ見積を依頼すると、買取価格は購入額の3分の1程度。
そして、ローンの残債がまだまだあったため、物件売却の際には残債を銀行へ一括返済しなければならない。
2500万円の借金を背負う
この時初めて彼女と先輩に騙されたことに気づきました。
超優良マンションと言われて購入した中古マンションは、実際の評価額をはるかに超えた高い価格で、超優良でもなんでもありません。
彼女も先輩もすでに連絡は着かず、販売をした不動産会社も倒産して無くなっている始末。
不動産に無知な僕は物件購入の際に実際の評価額を調べることもせず、相手の口車に乗せられて2500万円もの借金を背負い、価値の無い物件を所有しています。
物件を売却して残債を一括返済する余裕なんてありませんから、給料と家賃収入の中からコツコツと返済をするほかありません。
家賃が途絶えてしまったら、その分のローン返済を自ら全額行わなければなりません。
マンションを購入したことで、逆に将来の不安が重くのしかかりました。
もし同じ状況の人がいるなら・・・
SNSで彼女と知り合い、うかつにも好意を寄せてしまった下心が原因でこのような結果となってしまいました。
世間でいうデート商法に引っ掛かり、そして不動産投資詐欺にも遭ってしまいました。
僕自身にも過ちがあったとはゆえ、彼女たちの行為は許すまじき行為です。
僕のようなトラブルに遭わないように、SNSやマッチングなど十分に気を付けてください。