【緊急寄稿】高齢の父を狙う恐ろしきデート商法の悪夢!

【緊急寄稿】高齢の父を狙う恐ろしきデート商法の悪夢!

執筆者プロフィール

  • 47歳・男
  • フリーライター

以前、SNSで知り合った美女に助平根性で金を貸したら正体がドレッドマッチョのペテン師だった、という間抜けなエピソードを寄稿した男だ。

何の因果か、再びこちらに寄稿するネタを引っさげ、恥ずかしながら戻って参りました。(クソッ!)

要するに詐欺被害をふたたび目の当たりにしたのだ。それも今度はデート商法ときたもんだ。

なお、俺の薄っぺらい名誉のために読者諸氏にはお伝えしておくが、今回の被害者は俺ではない。身内だ。

さて、前回俺は

「50近いオッサンが名曲『桃色片想い』も真っ青の、さしもの『あやや』も裸足で逃げ出すような、そんな恋愛詐欺という非常にショッキングな出来事の顛末」

を寄稿させていただいた。原稿が没になっていなければ、恐らく読んでいただけると思う。そんなことはどうだっていい。

この盆、俺は数年ぶりの帰省の際「遺伝」をどこの教科書よりも正確に学んだ。

齢70の父親と数年ぶりの再会

齢70の父親と数年ぶりの再会
ところで、俺には今年70歳になる父親がいる。

父は3年前のクリスマスに軽い脳梗塞で倒れ入院したのだが、それから少し様子がおかしくはあった。

また糖尿と高血圧という年寄りあるあるの持病を持つ、まあ息子が言うのも何だが、年相応にガタの来ている、どこにでもいるおじいちゃんというやつだ。

そんな親父と、この盆、俺は3年ぶりに再会した。なあに、数年ぶりに帰省したのだ。

やはり実家は良いもんだ。狭いながらも楽しきわが家とはよく言ったもんで、まあ寿司とビールと、あと少しの田舎料理で再会を祝っていたわけだ。

そして初日の夜、俺は何の気無しに親父に

「なあ、墓参りはいつにするんだ。明日でもいいか?」

と聞いてみた。

俺はいま、原稿を書きながら半分後悔している。あの時あんなこと聞かなければ、今頃アレクサス・ショック(※前回の記事参照)の傷が多少なり癒えた頃だったというのに。

「あー、明日はだめだ。・・・怜子ちゃんと約束があるんだ」

微妙に声を潜めた親父だが、親父はどうやら、この盆時期に、家族でもない、怜子ちゃんとお約束があるという。

結論から言おう。

いい年して恋愛詐欺に引っかかった俺の親父は、俺と時を同じくしてデート商法詐欺に引っかかっていた。

だから「遺伝」の素晴らしさを学んだというわけだ。

父に取り入る謎のオバハン「怜子ちゃん」の存在

父に取り入る謎のオバハン「怜子ちゃん」の存在

「・・・誰、怜子ちゃんって。親戚の叔父さんの娘だっけ?」

俺はつとめて冷静に怜子ちゃんの素性を聞き出そうとした。もうこの時点で察しはついていた。

だいたい親戚でもないのに、盆を最重要イベントと位置づけるこの片田舎で、盆時期に会おうなんざ言っちゃ悪いがロクなものではない。相場が決まっている。

「公民館で偶然知り合った人で、俺の俳句を褒めてくださってね。あの人は含蓄のあるひとだ。それ以来、定期的に彼女から絵の手ほどきを受けてるんだよ」

ほれ見ろ。この親父の口ぶり、絶対に怪しいだろう。

そもそも親父の俳句なんて、ひどいもんだ。アレを褒めるのは大概、胡散臭いヤツでしかない。断言する。

しかもその相手が「女性」というのがまた最悪だ。俺の中で嫌な予感が確信に変わった瞬間だった。

「ふーん。・・・で、明日会うってのは?」
「明日は怜子さんから買った絵の代金を払いに行く。」
「・・・いくら?」
「40万。税金オマケしてもらった。」

・・・オマケしてもらった、じゃねえんだよ。このタコ親父が。

海、イルカ、女性の絵売りさん。

海、イルカ、女性の絵売りさん。

「いや、絵で40万ってそんなに有名な作家さんなの?」
「うん?いや知らないけど、絵は上手かったよ。怜子さん自身の絵の値段を聞いた時は驚いたけど、彼女の人柄に納得したなぁ。あんなに素敵な絵を描く人に悪い人はいないよ」

・・・うん、ダメだこりゃ。俺はため息を押し殺しつつ、あくまでもこう、興味があり、決して止める気はないですよ、という顔をして質問を続ける。

「へえ、そいつはすごいや。画材っていうか、題材は何なのさ?」
「イルカ。今回のはな、彼女の作じゃないんだ。高名な画家の絵らしいんだよな。」

嫌な予感しかしない。

「ふーん。どんなの?」
「まあ、すごい絵だ。色鉛筆や水彩などを使い分けてね。筆圧が少し弱いかなとも思ったけど、でもそれが淡い海とイルカを表現していてな・・・俺の心の琴線に触れるんだ。」

ちなみに親父は「琴線(きんせん)に触れる」を「コトセンに触れる」と言っていたが、この際そんなのはどうだっていい。

海、イルカ、そして女性の絵売りさんで盆時期に呼びつける。

俺は日本国東京都米花町在住の帝丹小学校1年生のメガネのとっちゃん坊やよろしく、ひらめいた。この息子にしてこの親父あり。

親父は、いい年こいて、デート商法に、引っかかっている。

○ッセンが、すっき~~~!!(by永野)ってか。おめでてえなオイ。

息子からの忠告

息子からの忠告
俺はGoogle検索で「デート商法 ラッセン」と検索し、その画面を見せながら親父に懇切丁寧に説いた。結果、俺の説得によって親父は納得したようだった。

「なるほど。こういう人もいるということか。怜子さんは違うし、何なら俺といて楽しいと言ってくれるから、俺の件には関わりがないということだな。」

だああああ納得してねえええ。俺の頑固さは親父譲りだったようだ。

明くる日、親父の手土産

明くる日、親父の手土産
明くる日、親父は俺の忠告を無視して出かけてしまった。

「親父のヤツ、今頃どうなってるのか・・・」

俺が心配してもしょうがないと思いつつも、どうしても落ち着かない。そんな時にピンポーンと呼び鈴が鳴る。

こんな田舎で誰が来るというのだ。新聞の勧誘員だろうか。洗剤3本ばかり頂いて、契約者は親父にしてドロンしてやろうか、、、そう思って引き戸を開けたところ、そこに立っていたのは親父と、一人の女性だった。

50にはなっていないだろう。俺と同年代にみえる、小奇麗な「お姐さん」だ。ただ妙なことに、そのお姐さんの顔には見覚えがあった。というかつい最近見た気がするのだ。

俺は記憶を辿る。この時は思い出せなかったが、絶対に見たことのある顔だった。

「突然すみません・・・はじめまして。花園怜子(仮名)と申します。」
「怜子ちゃん、ちょっと待っててね。例のモン、取ってくるから」

親父は俺に目配せしつつ、部屋に入っていく。何の話をすればいいのか。玄関先で。

俺は無難に天気の話をしつつやり過ごし、親父が来るのを待った。

ザ・戦利品

ザ・戦利品
親父が玲子ちゃんに何かしらを渡すと、玲子ちゃんは早々と辞去した。

居間に戻ると、何やら親父がニヤニヤしながら一枚の絵を広げた。おそらくこれが、問題の絵なのだろう。

それは素人目に見ても、明らかに安っぽい、印刷の絵だった。

「いやあ、本当に見事なもので・・・。まさかここまでとは思っていなかったな。この光沢もすごい。」

親父はそう言いながら満足気だったが、その光沢は印刷の光沢だ。手描きでそんなツヤツヤピカピカするワケ無いだろう。

さて、どうしたものかと思っていたところで、事態は最悪の方向へと進む。

大魔神のご帰還

大魔神のご帰還
その夜。

「今すぐ返してらっしゃい!!!」

戦国武将の名乗りかと思うような音量で叫ぶ者、あり。我が家の母である。

そう、親父は特に妻に先立たれて、とかそういうことではなく、普通に母ちゃんに黙ってこれらのものを購入していたのだった。それも取り調べによると、合計5点ほど。

それで母は烈火のごとく怒り狂っているわけだ。もっとも今回に関しては無理もない話だとは思うのだが。

実家、居間大法廷にて

実家、居間大法廷にて

母の怒号を聞いて駆けつけた俺は、親父と共に正座して事情を説明することになった。今回ばかりは親父の分が悪すぎる。結果、玲子ちゃんに親父が頭を下げて全て返品することで決着がついた。

母が親父に詰め寄る。

「お父さん、何なら私が話をしますから、今すぐ電話番号を教えてください。」
「・・・無いです。」

母が敬語になった時は非常に危険だ。何処のご家庭でもそうだろう。

で、無いですってのはどういうことだ。ここは俺の出番、優しく諭してやることにする。

「なあ親父、落ち着いてくれよ。親父だって悪気があってやってるわけじゃないんだからさ、怜子さんの電話番号くらいは母さんに預けようよ」
「だから、無いんだって!!!」

逆ギレとはまさにこのこと。

聞けば、怜子さんとの連絡手段は対面のみ。毎回、公民館で会い、喫茶店などとシケ込み、そこで売買の話を毎回たっぷり3時間ばかりしていたという。だから、電話番号の類は一切交換していないそうだ。

これには母も血圧がみるみる上がり、そして途端に怖いくらい無表情になり、ひとこと

「わかりました。私が調べますからもういいです」と。

母は強し

母は強し
そこからの母は強かった。年に似合わずiPhoneとiPadを駆使し、的確に相手の情報を集めていく。フリーライターの俺もそこそこ調査能力には自信があるほうだが、それを凌駕するほどの調査力だった。

調査結果

調査結果
結果、分かったことがある。

怜子なる人物は元々、とある地方都市でデート商法をやっていた人間らしい。

デート商法とはその名の通り男女間の感情を悪用した取引を指すが、どうやら彼女はその道では有名だったらしく、結構な有名人らしいことが分かっている。

また、彼女はいわゆる恋愛指南師として生計を立てており、デート商材にも定評があるようだった。

古臭いLP(編註※商材売り込み用のホームページ)が出てきた。しかし、そこまでしか分からなかった。というのも過去の法人情報らしきものは分かったが、そこから先の現在の情報がまるで出てこない。

親父の派遣

親父の派遣
母の命で、俺は親父を伴って公民館へ向かった。とんだ盆休みである。

公民館の受付にいる、警備か事務かよく分からない、でも一定の権限のありそうな職員のオッチャンに俺は、ちょっと苦労人風のテイで聞く。

「あ、どうもコンチワ!あのね、すみませんけれどもね、ここで毎週水曜日に公民館で活動している怜子さんっていう方なんですけども、何か団体登録とか無いですかね?いえね、ちょっと火急の用事があって、お電話したかったんだけど親父が連絡先聞いてないって言うもんで。」

警備のオッチャン、「またか」という顔をする。雲行きが怪しい。

「その方の登録はありませんし、あったとしても個人情報がありますので・・・あと、その人最近問い合わせ多いんですよ。毎週水曜日っておっしゃいますけど、今年に入ってから、平日は毎日いらっしゃってたんですけどね。先週からはいらっしゃってないですね。」

ドロンしてんじゃねえか。

「そうですか・・・感染症とかじゃないと良いんですけどね」

親父は親父でまだ、騙されたことに納得していない様子だった。

盆のお土産

盆のお土産
結果報告といこう。結論から言うと、玲子さんには飛ばれた状態だ。それも、連絡先情報なし。

契約書らしきものは手元にあるにはあるのだが、ここから連絡先を得るには専門家の手助けが必要だろう。

地元の探偵社へ相談に行く

地元の探偵社へ相談に行く
そんなわけで俺達は古き良きタウンページを取りに行き、ある会社を訪れた。

事務所名すら書いていないところを見ると、恐らく地元の興信所だろうと思われるが、とにかくそこを訪ねる他なかった。なお、警察に行かなかったのは、母の「大事にしてご近所にバレたくない」という意見と、俺の「詐欺系では警察はアテにならない」という考えによるもの。

しかし、こちらは結果的に不調に終わった。

「その手の案件はインターネット調査も必要になりますので、ちょっと難しいですよ」

ということで、面倒くさそうに断られたのだ。

送り火と帰省の終わりに

送り火と帰省の終わりに

そんなこんなしてるうちに、ついにお盆期間が終わる。親父は家にいるものの、ずっと凹んでいるようだった。

そりゃそうだろう。あんなに一生懸命に集めたお金を使ってまで行った挙句の結果なのだから。俺はこちらに戻る支度をしながら母に

「どうしてもダメなら、東京の調査会社とかも一緒に探すから」

と伝え、苦い思い出をお土産に帰路についた。

まあ、俺としては根っからのライター性分だから、アレクサス・ショックの時どうようにこうしてある意味意気揚々とネタにしているわけだが、本人(というか母)からしたら、たまったもんではないだろう。

全額までは行かずとも、せめて半分は返金してあげてやってほしい。そう思う。

追記(あるいは怜子の正体について)

追記(あるいは怜子の正体について)
原稿を送った後になり恐縮だが、追記させていただく。

俺が実家の玄関で相対した怜子。あの顔、帰省が終わるまで思い出せなかったのだが、こちらに戻ってきてから思い出した。

あれは間違いなく、結婚詐欺か何かで過去に追われ、いわゆるウォンテッドになっていた人物だった。個人が個人にウォンテッドをかけるケースも最近は多くなってきたが、そういった事案の一つで確か、怜子の顔が出ていた。

そうなると俺ら以外にも被害者はいるだろうし、恐らく次の街で同じようなことをしているのだろう。読者諸氏には充分、ご注意いただきたい。

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