【手記】私がついていながら・・・その妻が詐欺師に騙され壊れるまで

【手記】私がついていながら・・・その妻が詐欺師に騙され壊れるまで
◆被害者プロフィール:
名前:幸薄健太(仮名)
性別:男性
年齢:54歳
職業:自営業(リサイクルショップ経営)
被害額:500万円
(うちローン利用・約200万円)

私は地方都市で、少しだけ大き目のリサイクルショップを経営している自営業者です。何処にでもいる古道具屋のオヤジです。いろいろな意味で平凡な人間です。

妻は私より5歳年上で、結婚して30年以上になります。子供たちはとっくに独り立ちしました。

そんなどこにでもいる、老夫婦に片足つっこんだような私達が、大きな詐欺被害に遭い、そして、発端を作った妻が現在、精神的に不安定になってしまった、そういったことになるまでの経緯を書かしてもらいたいと思います。宜しくお願い申し上げます。

   
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自営業の私についてきてくれた妻

自営業の私についてきてくれた妻
私は若い時分に勤め人が向いていないことに気づき、結婚してすぐに、周囲の反対を押し切って脱サラしました。そして、リサイクルショップを開業し、地道に商売を続けてきました。

しかし、世の中が不景気になると、どんどんお客さんが減っていきました。特に地方の店舗では顕著で、なかなか苦しい毎日が続きました。

そんな中でも、私は自分の店が好きでしたし、そこで働く従業員たちのことも大好きでしたので、必死に働いて何とかやってこれました。

また、妻の支えもありました。妻は私のことを理解してくれて、一緒に頑張ってくれました。

二人で力を合わせて店を盛り上げようと、二人三脚でやってきたのです。

自営業の足しに、と・・・

自営業の足しに、と・・・
しかし、今から10年ほど前に東北地方で大きな災害があり、その関係で商売がしばらくの間、まともにはできなくなってしまいました。もちろん、このタイミングを見計らったかのように不景気は加速していき、ますます商売が苦しくなりました。

こんな時には少しでも売り上げを伸ばした方が良いことは分かっていたのですが、仕入れも思うようにできなくなり、売上が落ちる一方だったのです。

このままではいけないと思ってもどうにもならず・・・それからは、家内にも内職をしてもらったり、パートに出てもらったりして凌いでいきました。

そういった関係もあり、家内は老体に鞭打って、ネットで色々なことをしてお金を稼いでくれていたのです。これが事情背景です。

おかしな行動、おかしな言動

おかしな行動、おかしな言動

そんなこんなで10年ほどやってきて、今年の春先だったと思います。妻の行動が徐々におかしくなりました。

まずは些細なことからでした。いつものように朝起きてくると、テーブルの上に朝食が用意されていませんでした。その時は疲れてるのかな?くらいにしか思っていませんでした。

しかし、その後に昼食を用意していなかったり、夕飯の支度を忘れたりと、そんなことがちょくちょくあったのです。

最初は疲れてるのか?と思っていた私も、だんだんと不安になってきて、ある日、それとなく聞いてみました。

「なあ、お前・・・最近、何か悩んでないか?」

すると、彼女はキョトンとした顔でこちらを見てこう言ったのです。

「あら?どうしてそう思うの?別に悩みなんてないわよ」

明らかに嘘をついている様子でした。いつもなら、私からこういった事を聞かれたら、もっと慌てたりするはずなのに。その日に限っては平然としている。私はこの時、何となく嫌な予感がしました。

「そうか・・・それなら良いんだけど」

私はそう言って話を終わらせました。それ以上突っ込んで聞いても、答えてくれないと思ったからです。

すると、彼女は笑顔で

「心配しないで」

と言ってきました。

「ああ・・・分かったよ」

私はそう言って話を切り上げるしかありませんでした。その後しばらくはそういった事もなく、私も仕事に忙しく精を出していて、すっかり忘れていました。

それが間違いだったんです。

気持ちの乱気流

気持ちの乱気流
あれから3ヶ月ほど経った頃でしょうか。

私はその日も仕事で遅くまで残業をしていました。家に帰ってきたのは午前2時過ぎでした。「(ただいま)」声を出さぬよう私が玄関を開けると、妻がこの時間にも関わらず起きており、鬼の形相で何やらスマホをいじっていました。

この時間にスマホに熱中するなど、特にゲームをやるわけでもなし、若い人でもなしに、いったい何をやっているのだろうか?と思いました。しかし妻の「話しかけてくれるな」というオーラに圧倒され、私は特に何も言わずに着替えをして寝室に行きました。

布団に入ると、ふと妻の言葉を思い出しました。そういえば、あの時に

「何もない」

と言っていたけど、やっぱり何かあるんじゃないかと思いました。

翌日、私は仕事帰りにドラッグストアで胃薬を買って帰ることにしました。その日の夜もやはり遅い帰宅になりましたが、同様にやはり妻が起きておりました。

しかし、この日は様子が打って変わり、

「あらおかえりなさい!あなたも毎晩遅くまで大変ね、いつもありがとう。でも、たまには休みを取ってどこか旅行でも行ってきたら?」

と労ってくれました。

私はその言葉にホッと胸を撫で下ろし、

「そうだね」

と答えてその日はすぐに寝ました。

それで終わればよかったのですが、それから1ヶ月位の間、妻はずっとこんな調子で、まるで病のような状態になってしまいました。

機嫌が良い時は本当に優しく、料理も洗濯も掃除も完璧。買い物に行くと気の利いたものも買ってくる。その反面、悪いか、落ちている時は、一切何もせず、ひたすら愚痴をこぼしたり、不貞腐れたり。

また、夜中に突然泣き出すこともあったり。私はその度に

「どうしたんだ?大丈夫か?しっかりしろ!」

と声を掛けましたが、妻は

「大丈夫よ、何でもない」

と答えるだけで、結局は何も変わらずじまい。

そのせいか、家事も疎かになる一方でした。当然、生活に支障をきたし始めました。

ゴミ出しの日に間に合わなかったり、食器洗いが溜まっていたり、風呂場のカビ取りが中途半端であったり。

私も注意をするのですが、全く改善されず、今度は妻は、私を責めるようになりました。

「なんでちゃんと商売ができないのよ!あんたのせいでしょ!いい加減にしてよ!!」

私は妻のヒステリーにほとほと困り果ててしまい、次第に口数も少なくなっていきました。

ここまで来ると、私の中で一つの心配事が出てきました。

「もしかしたら、妻は他の男と会ってるんじゃないだろうか?不倫してるのではないか?」

といったことです。

長年にわたって苦労をかけ通しでしたから、このようなことがあっても決しておかしい話ではないと思います。

思えば今まで妻のことなど顧みないで、仕事一筋で生きてきました。にもかかわらず、売上もさほど立っているわけでもなく、私としてはいつ妻から三行半を突きつけられてもおかしくないような状況であったと、この時になって初めてわかった馬鹿さ加減です。

しかし、それとはまた別に、私の心の中でどうしても妻のことを信じられなくなりそうになりました。

私は妻の行動に不信感を抱くようになりました。そして、そんな疑いを持った時、私の心の中に浮かんだのは「熟年離婚」。冗談ではありません。

だからこそ、相手の男を特定してやろう。そう思い、私は手始めに、探偵会社に相談をしようと思い、普段は妻に預けている口座の残高を、久しぶりにネットからチェックすることにしました。

会社の口座ではないですが、私の人生がかかっているメインの口座です。これ以外に銀行口座はありません。だから私の全財産が、私の商売人としての人生そのものが、この口座に入っているといっても決して言い過ぎではないと思います。

しかして、その実態は。この時の衝撃は、忘れたくても忘れられません。ネットから見た我が家の口座の残高が、300万近くあったはずの残高が、ほぼ0になっていたのです。

さらに、見逃せない事として、資金の履歴を見ると、この2ヶ月ほど、よく分からない、得体のしれない会社へ何度も何度も、送金をしていたのです。

それも、残高のほとんどをその会社に送り、その他、数万円ほどは、消費者金融の会社名と同じところへ振り込んでいるのでした。確かに、過去、私の名前で消費者金融の契約はありましたが、今は、返済もありません。

ということは、少なくとも、貯金は全額このよく分からない会社に消え、さらに借金も、私名義で、妻が再び契約していることになるわけです。目の前が真っ暗になっていくようでした。

しかし、おかしいと思いました。

なぜなら、私の記憶では、妻はこの30年間、一度も、自分のためにお金を使っていなかったのです。苦労をかけてきたものです。なのに、突然こういうことになり、更に単なる引き出しでもないとなれば、浮気ということもなさそうでした。

そこで私は夜明けまで、パソコンで必死に調べてみました。結果、その会社はどうやら、仮想通貨の取引所といって、いわば仮想通貨の銀行のようなところだと分かりました。

どうも、妻は貯金全額に加えて、消費者金融で借りたお金も含めて合計500万円もの大金を、仮想通貨に突っ込んでしまったようなのです。

この事実を知った瞬間に私の頭は混乱し、思わず声を上げてしまったのです。

「どういうことだ!?これは!!!」

涙の告白

涙の告白

すると、寝室で寝ていた妻が起きてきて、私のそばに駆け寄ってきて、何かを覚悟したように正座し、話し始めました。

「それを見られてしまったら、もう隠し通すことはできません。実は・・・」

そう言って妻は、今までの経緯を全て私に打ち明けてくれました。

聞けば、妻は2ヶ月ほど前、副業で使っていたインターネットのフェイスブックで外人の男性と知り合い、仲良くなったそうです。

その男性は、私と同じくらいの年齢で、アメリカ人の独身の人でした。彼は証券アナリストの仕事をしていて、投資に明るく、妻が語った我が家の窮状を聞き、それならば、と投資を勧めてきたのだそうです。

「その人はとても誠実そうな方で、あなたも知っての通り、私は、あなたの稼ぎに頼って生きている身。だから、せめて少しでもお返しがしたい、家計の足しになればと思って、その話に乗ったんです」

と。涙ながらに語る妻の姿に私は心打たれました。

どうも、国内の仮想通貨取引所にまず現金で入金し、然る後、その人のいう取引所へ送金し、そこで取引をしていたというのです。

さらに、そこで利益が出たものの、お金を引き出すには日本人なので、税金や保証金が必要と言われ、入れたお金が没収されないようにと次々と入金するうち、とんでもない金額になり、なおかつまだ引き出せず、おかしいと思いネットで検索したところ、どうやら投資詐欺の典型的な手口であるらしいことが、他の方の体験談で判明した、ということでした。

「そうか・・・」

私はそう言って妻の肩を抱き寄せました。

「でも・・・ダメだった・・・」

妻はそう言うと顔を両手で覆い、嗚咽しはじめました。

夫婦として乗り越える

夫婦として乗り越える
夫婦として、この問題を乗り越えることに私は決めました。こういうことで離婚するご夫婦もあられるということでしたが、それは私の本意ではないのでした。

だから、私は妻とともにまず借金関係は返済を待ってもらう交渉を行うこととし、妻に累が及ぶことのないよう、私が借りたと業者には断言しました。

その後に、警察に一緒に行き、顛末を話しました。しかし、警察ではやはり対応が難しいと言われ、いまはまず、お金ではなく命あっての物種と考え、少なくとも明日食べるお金が有れば良いと、妻をなだめている日々です。

今後のこと

今後のこと
今後ですが、まずは犯人の特定といいますか、まあ、海外ですから難しいのかも分かりませんが、とにかく少しでもいいですから、お金を返していただきたいです。

それと、今後はこういった事がないよう、夫婦ともども、また地道に頑張って商売してお金を稼ぎながら、それでも無理のない程度に頑張って、身の丈にあった生き方をしていきたいと思います。まだ、息子たちにはこの話をしていません。

妻がそんな話は出来ない、と言っているからです。妻のことも考えて、私は、いつかこれが笑い話になるその日まで、息子たちを頼らずに、何とかしていきたいと思っています。

お願い

お願い
もし、同じような状況に陥った方がいらっしゃったら是非ともアドバイスをください。特に、妻の精神ケアを知りたいです。どうかよろしくお願いします。

追伸:この話を読んでくださっている皆様も、くれぐれもこのような事に遭われぬよう、十分注意して生活を送って下さいね。

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