ネットで知り合った女性と出会い、金銭の要求や盗難の被害にあってしまうという「美人局（つつもたせ）」による犯罪が多発しています。出会い系やSNSを利用した詐欺行為の被害者は、ネットの普及率と共に増加してきました。
しかし、美人局の被害にあった場合どんな罪に問えるのか、あまり知られていません。今回は、美人局の被害を弁護士に相談したい場合に必要となる証拠や、依頼金の相場をご紹介します。
美人局の被害を実際に受けた方、またこれが美人局による被害かもしれない…と現在不安に思われている方は、当記事をぜひ参考にしてみてください。
美人局の詐欺が解決しにくいのはなぜ？
美人局の被害にあったら、消費者センターや警察に相談をしようとするでしょう。しかし、騙し取られたお金が返ってくることは難しいと言われた経験がある方もいるかもしれません。
一般的には、詐欺被害の解決は難しいと言われています。美人局は足が付かないように手段を変え、さまざまなサイトやアプリを用いて詐欺を行っているため、解決に至らないと言われています。
金銭を取り返すことが難しい美人局詐欺の問題点をご紹介します。
被害にちゃんと気が付かない
知り合った女性に好意を抱いている男性は、女性が共犯者ではなく自分と同じような被害者かもしれないと思い込んでしまうケースがあります。
たとえ女性が詐欺行為を働いても、被害者からすると男女の関係があるからこそ判断が難しくなります。親しくなったばかりだとしても、好きな人が自分を騙すのはあり得ないと考えてしまうからです。
証拠がなかなか掴めない
美人局による脅迫行為は、録音などを行っていなければ証拠がなかなか掴めないという特徴があります。
- 加害者である男性から「自分の妻（彼女）に手を出したから慰謝料を出せ」と告げられても、本当に女性が結婚をしているのか証明することは困難です。
- 18歳未満の女性だった場合であっても、本当に未成年かどうかを確認することができないため、その行為が詐欺だったと証明することは非常に難しくなります。
後ろめたさで公にしたくなくなる
美人局に共通する被害者は、既婚者や未成年と性行為をしたことが原因で慰謝料などを請求されています。
そのため、自分にも非がある状態の被害者は、警察などに相談し状況が公になってしまうことを恐れ、公にすることを拒否してしまう傾向があります。
美人局に該当する犯罪は？
刑法には、美人局という罪状はありません。しかし、詐欺でもある美人局は、それぞれ別の罪状に振り分けられる可能性があります。
美人局はどんな犯罪に該当するのか、1つずつ解説していきます。
刑法第249条：恐喝罪
「会社にバラす」と脅したり、暴力行為を働き金銭を払うようにさせた場合は、刑法第249条の恐喝罪に定められる可能性があります。
後に説明する強盗罪と似た内容もありますが、恐喝罪になるのは脅しの程度により、認められれば、10年以下の懲役を求刑されます。
刑法第222条：脅迫罪
恐喝罪と似ていますが、こちらは具体的な金銭を要求せずに脅した場合は、刑法第222条の脅迫罪に定められる可能性があります。
被害者に対して肉体的や精神的に危害を加えることを伝えるだけの行為です。金銭目的ではなく、脅しが目的の場合がこれに当たります。脅迫罪は2年以下の懲役、または30万円以下の罰金となります。
刑法第223条：強要罪
「家族や会社にバラす」と脅し暴行などを加えた上で相手に義務がない行為をさせた場合、または被害者が持っている反抗を行う権利を使用させないことは、刑法第223条の強要罪に当たります。
加害者の借金を肩代わりさせるなど、被害者がまったく義務がない行為をさせた場合は、3年以下の懲役を求刑されます。
刑法第236条：強盗罪
相手に暴力を与え、その上で金銭を無理やり奪い取る行為は、刑法第236条の強盗罪に当たります。
相手が一切抵抗できないほどに脅迫や暴行を加え、さらに何もできない相手から奪い取ったことが認められれば、5年以上の有期懲役に処されることになります。
刑法第246条：詐欺罪
美人局ではよく見られる「妊娠したから中絶費用をよこせ」と告げ金銭を騙し取ると、刑法第246条の詐欺罪になる可能性があります。
詐欺罪を成立するためには、構成要件を満たさなければなりません。
- 真実ではないことを加害者が伝えた
- 被害者が真実ではないことを信じた
- 被害者が信じたことで金銭を出し、加害者が受け取った
- 被害者が財産的に損害を受けている
すべてを満たした際に詐欺罪が成立します。有罪となった場合は、10年以下の懲役に処されます。
弁護士に相談する際に必要となる証明書
美人局の相手が、詐欺ではないと主張してくることがあります。しかし、弁護士に相談するなら相手からもらわなければならない書類があります。
これが相手から受け取れなかった場合は詐欺が確定するため、別の形で証拠を集めなければなりません。
ここからは、どんな書類が必要になるのか、説明していきます。
医師の書いた診断書
「妊娠した」と中絶費用を求めてきた場合には、医師の書いた診断書を求めると詐欺かどうかがわかります。もしも出せないという場合は、詐欺かもしれません。
検査薬の結果などは証明書にはならないため、必ず医師の診断書を受け取るようにしましょう。
保険証などの身分証明書
18歳未満だったと判明するケースがあります。その際は、必ず身分証明書を提出してもらうようにしましょう。
身分証明書がなかったとしても、18歳未満ならば学生証や健康保険証は持っているはずです。それすら持っていないと言われた場合は、卒業アルバムなどから年齢を計算するようにし、証拠にすることをおすすめします。
抄本や戸籍謄本
美人局で一番厄介なのが相手が既婚者の場合です。相手が本当に結婚していた場合は不倫行為に該当する恐れがあります。
その場合、相手には抄本や戸籍謄本を提出してもらうようにしましょう。役所で簡単に手に入るため、それを渡してもらい弁護士に相談することがおすすめです。
弁護士に依頼した際のトラブル解決までの流れ
詐欺被害を弁護士に依頼した際、トラブルを解決するまでの流れがあります。
どのような流れで解決に導いてくれるのか、簡単にまとめてみました。
依頼（委任契約書の流れ＋着手金の支払）
弁護士との相談は、基本的に予約での相談となります。
無料での相談がある事務所もありますが、ほとんどが相談から料金がかかります。相談料は1時間当たり5,000〜10,000円が相場です。
正式に依頼をすることが決まった場合は、着手金がかかります。一般的な相場としては10万円以上となっており、事件の分野や経済的利益によって金額が変わります。
弁護士による委任内容の遂行
委任契約の締結・着手金の支払いが完了すると、弁護士が委任内容に沿った対処方法を検討してくれます。
裁判がなかったとしても、相手との交渉もすべてしてくれるので、いろいろとお任せするのがおすすめです。
交渉する
弁護士との委任契約を結んだとしてもすぐに裁判を起こすことはなく、まずは弁護士が相手方と交渉し、和解や示談での解決を求めるために働いてくれます。
調停する
交渉での解決が難しい場合には、弁護士が調停への準備を進めます。
裁判所の調停機関が間に入ってくれ、被害者は弁護士と共に席に着き話し合いを行っていきます。裁判室に立つわけではなく、調停室のテーブルを囲む方法です。
訴訟を起こす
交渉・調停でも解決しなかった場合は、最終的に法的な手段を行うことになります。
あまりにも解決が難航した場合は法的手段に移る判断をすると連絡があるでしょう。事件に大きな進展がないと弁護士からの連絡はないため、2週間〜1ヶ月ほど間が空く可能性もあります。
解決（解決金）
事件が解決したら、弁護士に解決金・報酬金を支払います。金額は経済的な利益によって変わるため、相場は一概に決まっていません。
さらに、手数料もかかり、その相場は依頼内容によって決まります。手数料は数万〜数十万になると言われています。
弁護士費用の支払い方は？
昨今では多数の支払い方法が増えてきたこともあり、弁護士に支払う方法も多岐に渡っています。一般的な支払い方や、少し変わった支払いケースをご紹介していきます。
一般的な支払い方法
弁護士費用の支払い方はさまざまですが、一般的なのは銀行での振り込みとなります。現金を直接持って行くことも可能ですが、ほとんどの弁護士事務所では弁護士費用を振り込みするように指示します。
どのような形で支払うのかは、相談した弁護士事務所で聞いてみることをおすすめします。
事務所によってはクレカ払いにも対応
昨今の電子媒体ブームもあり、クレジットカード払いも可能な弁護士事務所もあります。一括や分割も選ぶことができ、事務所によっては最大24回分割払いなども可能になっています。
依頼した事務所によりますが、クレジットカード払いが可能かどうかを相談してみることがおすすめです。
手数料を払うタイミングは？
手数料は、資料作成や債務整理など、1回程度で終わる事務的な手続き依頼をした際に発生します。支払うタイミングは事務所によって異なり、着手金と共に払う場合や、報酬金と同時に払うこともあります。
相場は2〜3万程度になりますが、依頼の内容によっては金額が変わるため、弁護士との契約時に決定した金額を支払う形になります。
タイムチャージ（時間給）で払う方法
少し変わった支払い方法で、タイムチャージというやり方もあります。1時間あたりいくらと時間給を決めている弁護士も多数おり、事件解決までに要した時間で金額が確定します。着手金・報酬金とは別の支払い方法になるので、併用はされません。
支払時期は事件終了後に払うときもありますが、弁護士との契約内容によって時期が変わりますので、弁護士と相談することがおすすめです。
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弁護士によって美人局の被害を解決するためには費用も時間もかかる
ここまで弁護士に相談する際の流れや、支払い方法などをまとめました。
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