【体験談】一発逆転を狙いUSBメモリを購入するも一転、加害者に|22歳若手起業家の受難

【体験談】一発逆転を狙いUSBメモリを購入するも一転、加害者に|22歳若手起業家の受難

こんにちは。

僕は22歳の学生(もうすぐ退学)です。

ITベンチャーの社長をしていましたが、最近ある事件に巻き込まれまして、どうしようもない状況になって廃業に追いやられました。

具体的には、投資で絶対に勝てるUSBメモリを人脈で購入し、その後、そのUSBと同じものを他の人にも売って紹介料を得ようとした結果惨敗し、結果的に自分も被害者ですが、友人知人の親からも訴えられそうな状況です。

今回は懺悔も込めて、自分の身に何が起こったのかをここに記したいと思います。

 

   
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1.若手社長として調子に乗っていた自分

1.若手社長として調子に乗っていた自分

もともと高校生の頃からビジネスには興味があり、自分なりに勉強したりイベントを開催するなどしていました。

大学に入ってからも起業サークルに入り、そこで知り合った仲間達と一緒に会社を立ち上げました。そして卒業後は最速上々を目指すビジョンで事業を進めてきました。今思うと、僕は完全に調子に乗っていました。

周りを見ることもなく、背伸びしてばかりだったと思います。

やはり社長っていう響きは他の同級生にはない魅力がありますし、実際地元の同級生とかも手のひらを返したように僕を応援してくれるようになったんです。幼少期に結構イジメとかにあっていたので「ざまあみろ」という気持ちでいっぱいでした。

地元のヤンキー系の男子からは

「社長!ごめんけど金貸して」

とかいって頭を下げられ、すごい気持ちよくなって5万円とか一気に貸したりしていました。当然、返ってきませんでしたが・・・

さらにビジネス塾に通ったり、地域の起業家コミュニティにも所属して、SNSでも結構社長さんと飲んだ画像をアップしてたりしてました。

その結果、色んな人から仕事の依頼をいただけるようになり、どんどん事業が拡大していったのです。

今思えば、この時にいい感じの就職先を見つけておけばよかったんですが。

2.調子に乗った代償

2.調子に乗った代償

そんな折、とある企業から依頼がありまして、僕は意気揚々と依頼を受けたのでした。

とある不動産屋さんからの依頼で、学生のリソースを使ってポスティングをしたり、管理物件のチェックを行う仕事でした。

仕事自体はとても簡単で、とにかく人海戦術でやれば何とかなる仕事だったと思います。

しかし、僕はこの時ミスをしました。仕事の依頼をする学生チームは僕の同級生や後輩がメインでしたが、その中に留年中の先輩がいたんです。

にも関わらず僕は完全に調子に乗っており

「先輩、仕事がないなら僕の会社で雇ってあげますよ(笑)」

的なことを言いました。その先輩はその時こそ笑っていましたし、結果的にこの先輩にもUSBを売りつけましたが、今はその先輩の親御さんから訴えられそうになっています。警察にも行かれました。

恐らく、この時先輩にちゃんと礼儀正しくしていれば、警察までは行かなかったかもしれません。今、詰めてきている債権者の中でも一番激怒していて行動が過激なのがこの先輩ご家族だからです。

・・・当時の仕事の話に戻ります。

僕はとにかく調子に乗って、働いていただく学生に「仕事を与えてやっている」みたいなスタンスを取ってしまいました。結果、同級生や知り合いの間で

「あいつは調子に乗っている」
「業務の指示も雑でよく分からない」

など陰で色々言われていたようです。

しかし、当時の僕は全く気づきませんでした。

気づかないどころか

「仕事獲得!今後も当社はバリバリ~」

みたいな調子に乗った投稿を繰り返していました。

3.人生最大のピンチ!

3.人生最大のピンチ!

ある時、依頼を貰った不動産屋の社長から呼び出しを受けました。

僕は褒められるものだと確信して事務所へ行ったのですが、、、そこで詰められました。

「おい、お前どういう了見で仕事してんの?」

そこにあったのは数枚の報告書のようなもので、中には僕が用意した学生の人員の仕事が適当で、大量に不法投棄されたポスティングチラシの写真や、管理物件のチェックが雑すぎて破損箇所を見逃した結果、水漏れが発生して大きな損害が出た的なことが書かれていました。

その書類に証拠も全て揃っていることが、遠目にも明らかに分かりました。
もちろん身に覚えはありません。

確かに指示書ではきちんとやっていたつもりでしたが・・・。学生チームのモチベーションが下がっていて、明らかに手を抜いて作業していたそうです。

正直ショックでした。しかし、ショックどころでは済まされない現実も待っていました。

4.気づいた「コトの重大性」

4.気づいた「コトの重大性」

この時の僕はまだ、バカでした。社長にビジネスマンとして、対等に

「損害賠償については当社の顧問弁護士あてに請求してください」

と伝えました。

すると社長の怒りはマックスボルテージになり、その場でやばいくらいキレ散らかされました。その時言われたのは

「素直に頭を下げて手を合わせて謝れば許してやるつもりだったけど、お前がそういう態度ならよく分かった」

でした。

(あとから登場するお兄さん的な存在の人には「そりゃ怒るわ」「カタにはめられたんだろう」と言われました・・・)

ここで初めて事の重大さに気づきました。

その場では一旦帰され、僕はその日一晩中、どうしたら良いのだろうと悩みました。

翌日から数日かけて謝罪文を書いて送ったり直接謝りに行ったりなど、あらゆる手を尽くそうと思いましたが・・・そもそも社長と連絡がとれず、さらに電話しても事務員に

「社長は別件で留守にしていて、今日戻るかどうか分からない」

と言われました。事実上、拒否られていた感じだったと思います。

5.「許し」と引き換えに

5.「許し」と引き換えに

それから3日後の夜のことでした。社長の携帯から連絡があり、出てみると

「君、ちょっと〇〇のスナックまで来てくれない?タクシー代出すからさ」

と言われ、僕は半分恐怖でしたが、指定されたスナックへタクシーで向かいました。

そして到着後すぐにお店に入っていきました。そこには既に社長がいて、ビールを飲んで待っていました。

「お疲れ様です」

と声をかけると社長は

「来てくれてありがとうね。まあ座って。あ、何飲む?今日はおごるから(笑)」

と機嫌が良さそうでした。

これはなあなあで許してもらえるパターンかと思い、僕はホッとしましたが、次の瞬間、それは間違いだと気づかされます。

「で、お前あの件どうすんの?弁護士とか生ぬるいこと、悪いけどうちはしないよ?お母様の〇〇(車種名)売っても足りないくらいだけど?あ、あれリースだったか(笑)」

と、明らかに僕のことを調査済みでしたので、僕は

「申し訳ありません。全て私の責任です。どうかお許し下さい。必ず賠償します」

と言った所、これがダメでした。

「・・・賠償?お前俺らの損失分かって言ってるの?・・・じゃあ、いいよ分かったよ、俺がお前に特別なチャンスをやるよ。いい人、紹介してやるから」

と言い、スマホを取り出してどこかに電話していました。

数分後、明らかに身なりの良い40才くらいの人が入ってきて、社長は

「じゃ、入れ替わりに俺は行くわ。あとはよろしく」

といって1万円札を置いて出ていきました。

6.男の説得、決意の契約書

6.男の説得、決意の契約書

男は吉川(仮名)といい、社長の後輩だそうです。

そして男からは

「社長は立場上こういうことを言えないから俺が代わりに言うけど、君は逆転のチャンスがある。このUSBに、プロの投資家が喉から手が出るほど欲している自動売買システムが入っている」

と説明がありました。

話を聞くとこのUSBに入っているデータがあれば、何もしなくても毎月数千万円の利益が得られるらしいのです。しかもそれを元手にさらに増やすことも可能とのことでした。

それを聞いて僕は思いました。怪しい・・・と。

しかし男は

「最近AIって流行ってるだろ?あれが入ってるんだ。実際に利益を出していて、〇〇社長(某有名な起業家)の弟さんとかも資産運用を任せている投資家の行動パターンをコピーして作っているシステムだから勝てる」

などと説明してきました。

今思えば上手い言い方だなと思うのですが、その起業家の方は僕の憧れの人で、その弟さんが資産を預けるくらいなら・・・と、完全に信頼しきっていました。

7.最後の賭け

7.最後の賭け

結局僕は、その男に言われるがまま契約を交わしてしまいました。金額は50万円。実際そんなにお金も無かったので、その場でカードローンに申し込み、2社回って何とか100万円のお金を用意して、そのうち50万円を男に渡しました。現金でした。

残りの50万は投資用の種銭でした。契約書はありましたが、スナックが暗かったこともあり、あまり読まずに仕事上持ち歩いていた実印をついて契約してしまったのです。

それから僕は1週間、寝ずに投資し続けました。見ているだけでいいと説明されましたが、やはり寝られず・・・その間も何度か連絡があり

「ちゃんとやってるか?頑張れよ!」

と言われて切られるのがほとんどでした。

8.悪夢の始まり

8.悪夢の始まり

結論、2週間で元での50万円は消え去りました。そして手元に残ったのは3万弱です。もうこの時点でかなり焦っていました。

そして男に連絡すると

「それはシステムというより、投資家本人の考え方が甘い」

とか言われ、さらにセカンドチャンスをやると言われました。

このUSBと同じものを1本売ってきたら20万円、買いそうな人を紹介して成約したら1本5万円をやると言われ、僕は会社のスタッフ全員はもちろんのこと、同級生、後輩、先輩、果ては地元の小中高の同級生まで全員に声をかけました。

そして、結果的に先ほど紹介した先輩Aと、同級生と後輩がそれぞれ数名ずつ、合計8人ほどにUSBが売れました。

40万円の報酬は

「まだ何人か商談中だから、まとまったら渡す」

と男に言われていました。

しかし、これが悪夢の始まりでした。

まず、男と連絡がつかなくなりました。それに気づいた翌日くらいにテレビのニュースで

「投資用のプログラムが入っていると称したUSBを売りつけ、多くの被害が出たことで警察は男を逮捕し~」

という内容が流れました。あの男でした。

報道によると男にはもっと上の指示役がいたらしいですが、会ったことも聞いたこともありませんでした。さらに、その報道を見た人から

「全然稼げないし男と連絡がつかないから君が弁償してほしい」

などのLINEや電話がひっきりなしにかかってきて地獄のような日々が続きました。

9.破滅へのカウントダウン

9.破滅へのカウントダウン

それから1週間ほど。カードローンの返済も当然支払えず、大学も怖くていけないようになりました。

さらに着信も多すぎてスマホは放置して電源を切っていたので電池切れを起こしていました。そんな中、自宅のアパートにピンポンがありました。

怖くて居留守していたところ相手は去っていきましたが、複数いるようでした。恐る恐るスマホの電源を入れてみるとLINEと不在着信の山でしたが、その中に

「これ以上連絡がつかないなら警察に~」

という数日前に来たと思われるメッセと、前日くらいから大量に着信している番号がありました。

不在着信を開くと弁護士事務所からの着信にまぎれて、末尾が「0110」とか「1234」「7171」などの固定番号から着信していました。調べると全て警察署の実在する番号(※)で、そこからはもうパニックでした。

(※編註:公開にあたりご本人およびご家族様に確認した結果、大学の同級生がそれぞれの親御さんへ相談し、その親御さんから地元の都道府県警察へ通報されたのではないか、との見解でした)

10.謝罪とこれから

10.謝罪とこれから

結局大学の学生課から実家に連絡が行ってしまい、母親が深夜迎えにきて、その車に乗って僕は地元まで逃げました。

自宅に着いたときも車のドアは静かに開け、玄関に入って僕の姿が外から見えない様になってから母親にドアをゆっくり閉めてもらいました。久しぶりに会った母親の表情は険しく、僕は土下座して謝りましたが母親は無言でした。

そのままリビングに連れていかれソファーに座るように促されたのですが、僕は立ったまま話を始めました。まずは今まで迷惑をかけてしまったことに対する謝罪と今後のことに関してでした。

といっても全然今後のことなど分からないですし、相手の情報すらありません。

最終的には母親がどこかのツテで連れてきた頼りになるお兄さん的な存在の方(もしかしたら、母の彼氏かもしれません。うちは家庭環境が複雑なのですが、気にしないでください)にひとまず逮捕だけは待ってくれるように調整してもらいましたが、今でも着信は止まらず、実家にもたまにピンポンが来るので、今は外出も出来ません。

不動産屋の社長も知らぬ存ぜぬの一点張りらしく、更に男は捕まっていますし、こういう事案はまず僕が被害者の方に賠償と謝罪をして、さらに僕からあの男やその上の人物に返金交渉をしていく必要があると思うのですが、いったいどうやっていけばいいのか分からず途方に暮れています。

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