◆被害者プロフィール
- ペンネーム:笑心(Emiko)☆
- 年齢:54歳
20年前にこっぴどい失恋(!)を経験してからというもの、ずっとオールドミスで通してきた私。今は預金通帳の数字が恋人。
けれど3年前に亡くなった父から相続した那須の土地が問題。父が生前、原野商法で騙されて購入したもので頭痛の種でした。せめて笑って過ごそうと前を向き始めた時、親子ほど離れた若い男の子が訪ねてきます。
土地開発業者のエースと自称する彼は4,000万円で土地を買い取ると私に持ちかけてきて・・・
冴えない私に若くてハンサムな訪問者!
田舎で細々と暮らしている私。ある日、若くてハンサムな訪問者がやってきました。
彼は何度か電話をかけてきたのですが、つながらなかったので、直接挨拶に来たということでした。
名刺を見ると、宅地建物取引業の免許を持っている業者だったのです。
用事は「あなたが相続されている那須の土地について」とのことでした。
と聞いたところ、
と飄々と答えてきました。
疑り深く土地の所有者や住所のことを聞いてみたのですが、すべて正確に答えてくれました。
運命?それとも必然?
恐らく本物の業者さんだし、東京から来たらしく疲れていそうで、立ち話もなんだから、と思った私は彼を家にあげました。
今思えば、お父ちゃんの土地に関連した業者さんだとはいえ、知らない人を自宅に上げることは、ちょっと危険かもしれません。私も少し疲れていたのか、そのあたりのことを考えるのが、少しお留守になってしまったのです。
彼はというと、家に上げるときも、小さな声で、興味なさげに
と言って上がってきたのですが、私は彼が疲れているのだろうと勝手に勘違いしてしまったのです。
これも今思えば、恐らく私の感じや雰囲気に合わせて
ということを私に暗に伝えようとしたのではないか、と思うのです。(そういう作戦的な)
まあ流石にお茶くらい出すわ、と思いキッチンに立った私。彼は私がお茶を淹れるのを見ていて、
と言っていましたが、私は
とか考えながらお茶を淹れました。
そのお茶を一服して、それから彼は、私にこう言ってきました。
私はびっくりしました。
私は言ってしまったのです。
彼は私にこう返してきました。
何いってんだコイツ、と思うやいなや、そう言って彼は立ち上がって、彼は父の仏壇に手を合わせ、お線香もあげてくれました。(恐ろしいことに、仏壇を見て宗派まで分かったようで・・・彼はお線香を正式な作法にのっとって、あげてくれました)
まあこれだけだと単に怪しい業者なのですが、更に私の心は彼の言動で刺されます。
自宅に置いてあった私の趣味のグッズ(恥ずかしすぎるので割愛しますが、某アイドルです)に興味をもったのです。
すると彼、趣味が同じだったそうで、、、問答を仕掛けましたが、知識も深い。ガチ勢。これで私は、いろいろな要素をすっ飛ばして、彼を「仲間」だと思ってしまったのです。
デベロッパーのエース
よくよく話を聞けば、彼はデベロッパーという業種のエースだということでした。
那須別荘地といって昔原野商法が流行った土地があるのですが、そこが大規模開発の対象に浮上しているとのことでした。
なんでも最近、昭和の時代に原野商法で買わされた土地や地所の値段が「本当に」上がってしまった、というのです。
そこで、その土地を買って、開発して、建物を建てて、売却まで持っていく、というのが彼の大まかな仕事ですが、彼の仕事は
ということでした。
そういった事情で、今回の土地を4,000万円で買い取りたい、当社としてはそれでも利益が出る、よってあなたのところを訪ねたのです、と言われたのです。
ただ、彼としては
ということでした。
これで、おおよその納得は行きました(行ってしまった私も悪い)
4,000万円のチカラ
4,000万円!私は
と思いました。
本当に心から嬉しくなってしまって、山林が売れるならお願いしたいと、私は若い彼にお願いしたのです。
すると彼は簡単に私の本人確認をして(免許証とかを確認されました)、また来ると去っていったのです。あっという間の話に思えました。
あと、ちゃんと
と言ってくれたのも、ギャップ萌えで刺さりました・・・。
「裏」が取れちゃった!
ただ、私もバカじゃないわけで・・・彼が帰ったあと、彼の言動、会社など、ちゃんと調べてみたのです。すると、ちゃんと存在する業者でした。彼のSNSも見つかりました。
続いて、那須(正確には、もう少し細かい地名がありますが身バレ防止で那須としておきます)の土地が本当に開発されるの?という話。
リサーチ方法としては、文明の利器・・・インターネット。そうです、我らにはインターネットがあるではありませんか。インターネットといってもバカにできませんよ?
インターネット歴ウン十年、ダイヤルアップの時代からオタクをやっている私の情報力をナメてもらっては困ります。
新聞記事、地元の掲示板、5ch、まちBBS、果ては爆○イまで、あらゆるところを検索しました。
その結果、、確かに小さな話題だったんですが、開発の話そのものはあるようでした。根拠としては、地元民と思われる方のSNSでした。
投稿には、
とか、
というタクシー運転手の方の投稿、そして
などなど、恐らく地域としてもにわかに沸き上がっているのでは?と思える投稿がありました。
しかし、公式の情報ソースは・・・ありませんでした。
でもこれが逆に
と思ってしまったのです。
こういった土地開発の話はある程度固まるまで正式には発表しないだろうし、逆に地元の情報レベルの方が真実味がある、と判断してしまいました。
「あなたは幸せになるべきだから」
まあ、彼には調査をお願いしているわけですから、当然話は進んでいきます。私もお父ちゃんの仏壇に
と話しかける毎日。
何なら、お線香もちょっと高いのを買ってきました。
そして、そんなこんなで後日。彼が
と報告の電話をよこしてきました。
彼いわく
とのこと。(そりゃそうだ)
ということで、買い主に引き渡すためには、どうしても伐採整地が必要とのこと。
彼が言うには
だそうです。
はは~ん、と。私はこれでカモられているんだな?と思い、
と、電話を切ろうとしました。
しかし!!
さらに彼は続けるんです。
ただ、どう考えてもお得だと思いますよ。個人的に僕なら費用払ってでも売りたいですもん。
ビット○インより確実に儲かるまでありますよね。
・・・まあ、確かに費用はかかっちゃうから・・・そうですね、一応、個人的に知り合いがやっている整地業者を知っているから、特別に安値で紹介することは出来ます。オタクのよしみで。」
といってくれたのです。
ちょっとここで心が動きました。
そして、ギャップ萌え男子はこう、電話で続けました。
ぶっきらぼうに言いました。
撃沈です。泣きました。
これが、これこそが!!私には刺さったのです。
100万円は利益のため?それとも彼に逢うため?
100万円。大金です。通帳から数十万円ずつ、合計100万円が消えるって想像つきますか?
しかも、
と、毎回彼が言ってくるようなシチュエーションに、すっかりやられたんです。
結論から言えば、いつしかお金の目的は「彼に逢うため」にすりかわっていました。
それまではお互いにLINEやメールでやり取りしていただけでしたが、彼は休日になると伐採業者との打ち合わせなどで那須の現地までわざわざ(それこそお給料も出ないだろうに・・・)飛び、現場写真をLINEしてくれたりしていました。
ここまでしてくれる彼に淡い恋心をいだいた私は、もはや彼に
などと頼まれれば、すぐに振り込んでいました。
結果的に那須の土地を売却するために必要な伐採、整地、測量などの調査費用で数十万円ずつ費用がかかったのですが、とにかく誠意的で安心できるやり取りだったので、毎回支払ってしまったのです。その合計金額が、冒頭の100万円。
そして、何度も言いますが、これは利益のためではなく、、彼に逢うためでした。
節税対策の裏技とクーリングオフの神話
そうこうしている間に、土地の整地もだいぶ進み、、いよいよ土地を売却出来る様な状態になったと彼から連絡がありました。
そして、ある日。彼から
でも、俺からも会社には話を通しておくから、、、内緒だよ?」
と言われました。(ここまで来ると、もはやタメ語。それが心地よかったです)
私はこれまで彼からのアドバイスに従ってきたので、もはや何の疑問も持たずに50万円を支払ってしまいました。
お金と自尊心を返して!
その「節税対策のお金」を支払ってから2週間。
彼からの連絡が明らかに増え、私は毎日彼と連絡を取っていました。
他愛もない話から、時々ちょっとドキっとさせるような恋バナまで。
そんなある日。
彼から着信。
しばらく連絡がつかないけど、心配しないで」
と言われました。
心配しながら1週間待ちました。でも、音沙汰がありませんでした。
ここで、私の理性がようやく(遅い)「もしや」と思わせてくれました。
どういう契約になっているかも謎なまま彼にお金を払いましたが、そもそもきっとこれは、売買契約なはず。一応、クーリングオフの期間を調べると・・・契約日から3週間が経過しており、すでに期限切れ。
さすがに心配になり(というか、やられた!と思いながら)業者に連絡すると
と言われました。
と彼への連絡を願い出るも・・・
との一点張りで、まるで私がストーカーみたいな扱い。私はいま、お金もそうですが、自尊心を返して欲しいとおもっています。