無価値な土地に架空の値上がりしそうな情報をでっち上げて買わせる詐欺のことを、無価値な土地を比喩した「原野」という言葉にひっかけて、原野商法と呼んでいます。
この原野商法については、騙されて購入した人の窮状につけこまれ、更に被害にあう二次被害が発生しています。
その中で消費者庁が、令和2年6月5日に東京都中央区にある富士建設株式会社による原野商法の二次被害について注意喚起を行いました。
このページでは、富士建設株式会社がどのようなことを行ったのか、同様の原野商法の二次被害の手口にはどのようなものがあるか、その対応方法などについてお伝えします。
富士建設株式会社に対する注意喚起とは
令和2年6月5日消費者庁は、消費者安全法38条1項の規定に基づく注意喚起を行いました。
注意喚起の対象となった富士建設株式会社について
注意喚起の対象となった富士建設株式会社について確認しましょう。
名称 | 富士建設株式会社(法人番号7010001191541) |
所在地 | 東京都中央区日本橋蛎殻町一丁目39番2号 |
代表 | 藤野 加晟 |
全く同じ名称の会社が日本全国にありますので、別の会社と混同しないように注意しましょう。
問題の富士建設株式会社は何を行ったのか
富士建設株式会社は何を行って今回の公表になったのでしょうか。
富士建設株式会社の手口は次の通りです。
買い手がつきづらい土地の所有者にアプローチをする
消費者庁の公表資料によると、富士建設株式会社の営業員は、買い手がつきづらい土地の所有者の自宅をアポイントなしに訪問して、
「土地を買い取る」
「土地を買いたい人がいる」
などと伝えてアプローチをします。
買い手のつきづらい土地を所有していると、高くはないにしても固定資産税の負担があったり、不法投棄の心配をしなければならなかったり、高齢の方が所有者である場合には、相続で次世代に負担をさせたくなくて処分したいと考えていたりするという状況にあります。
こういった所有者にアプローチをします。
別の土地を買うことを条件に土地を購入する
上記のようにしてアプローチをした土地の所有者に対して、別の土地を買うことを条件に土地を購入します。
条件とされる購入すべき土地は、同じように利用がされていない場所の土地なのですが、富士建設株式会社はすでに購入希者がいる土地なので必ず売れるなどと説明して購入を迫ります。
ここまで、富士建設株式会社としては土地を購入することだけを伝えており、急に別の土地を買うことを条件につけられるので、不審に思う方もいらっしゃるようなのですが、ここまでの富士建設株式会社の営業員との付き合いもあり、信じて土地を購入することになります。
土地の購入の費用を請求する
その後、土地の購入について、諸経費・事務手数料などの名目でお金がかかったとして、請求されます。
この金額は、10万円~多いと100万円を超えるものだったのですが、交換で購入した土地が売れれば返還されると説明されており、被害者はこれらの金額を要求された通りに支払います。
土地は売れず支払った金額も返ってこない
元々持っていた土地の所有権は手放した上で、新しくかわされた土地について、実は購入を希望する人がおらず、すぐには買い取ってもらえません。
あらためて売却活動をしようとしても、やはり買い手がつくような土地ではなく、やはり元のように利用できない土地を持っているだけということになります。
問題となった行為と法律の規定
富士建設株式会社のケースでは、どのような行為が問題になるのかを確認しましょう。
特定商取引法の訪問販売にあたる
今回の富士建設株式会社の取引手法は営業員が自宅まで出向いて交渉をしているので、特定商取引法上の訪問販売にあたります。
そのため、取引にあたって特定商取引法の規制を受けます。
本当は買い手がいないにも関わらず買い手がいると伝えた件は不実告知
富士建設株式会社のケースで最も問題になったのは、購入を条件とされた土地について、買い手がいないにもかかわらず、買い手がいると偽って売却したことです。
これは、特定商取引法6条で禁止する不実告知にあたります。
そのため、今回は特定商取引法違反行為があったとして、このような公表に至りました。
民法・刑法上の詐欺にあたる
特定商取引法違反のほかにも、民法・刑法上の詐欺にあたります。
そのため、取引は取り消して、払った金銭を取り戻すことが可能です。
また、実際に交渉を行った営業員や、営業員に指示を出していた上司などは、詐欺罪として罪に問われうることになります。
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原野商法と二次被害について確認しよう
今回の富士建設株式会社の手口は、原野商法と呼ばれています。
原野商法とはどのようなものか、昨今問題になっている二次被害についても確認をしましょう。
原野商法とは
原野商法とは、買い手がつかないような原野・山林のような土地について、値上がりをするような虚偽の情報によって購入させる方法の詐欺をいいます。
1960年代~1980年代に、
新幹線のルートになる
リゾート開発計画が持ち上がっている
などの虚偽の情報を示して購入をさせていました。
昨今では、
外国人が自分たちの拠点にするために土地を買おうとしている
といった理由で購入を持ちかける原野商法も発生しています。
最も被害が多発したのが1960年代から1980年代なのですが、富士建設株式会社の件が令和2年に公表されたことに鑑みても、繰り返し発生しているのが原野商法であるという認識をしましょう。
原野商法の二次被害とは
原野商法の二次被害とは、原野商法の被害者として不動産を購入させられた人に対して行うさらなる詐欺のことをいいます。
たとえば、
「画期的な販売方法があるから絶対売れる」などとして、販売手数料を払わせるも、不動産を売ることができない
などがあります。
原野商法の多くの被害者が亡くなったり高齢化しているため、相続人としては手放したくない・相続させたくない、という心理につけこむ非常に悪質なものです。
原野商法にあった場合の対応方法
原野商法の被害にあった場合や、二次被害にあった場合の対応方法を知っておきましょう。
弁護士に相談して法的手続きを行う
原野商法の被害にあった場合には、上述の特定商取引法違反や、民法の詐欺に基づく法律行為の取り消し・刑事告訴など、様々な手続きが発生します。
取引の内容をきちんと確認して、どのような主張が必要で、どのような主張ができるか、などを弁護士と相談して行うようにしましょう。
取引を取り消すことができる場合には、相手に支払った金額の返還をもとめて民事訴訟を起こすことになります。
また、振り込め詐欺救済法の規定によって、詐欺に使われた銀行口座を凍結し、被害者で分けることも可能です。
相手が特定できない場合には探偵・調査会社に相談を
以上のような手続きは、相手が特定できている場合に可能です。
しかし、詐欺を行うような者は相手の氏名や住所がはっきりわからないことも珍しくありません。
このような場合に民事訴訟などの手続きを行うことができないので、まずは相手を特定する必要があります。
探偵・調査会社は、犯罪の加害者を特定することも業務として行っています。
相手に関する情報があまりにも少ない場合には、まず探偵・調査会社に相談してみましょう。
原野商法の被害にあった場合に、相手がわからない、連絡しようにもどこにもつながらない、ということも珍しくありません。 このような場合、泣き寝入りするしかないと思っている人も多いのですが、実は調査会社(探偵)に相談・依頼することで相手が見[…]
まとめ
このページでは、富士建設株式会社に対する行政の公表内容を、原野商法の内容と一緒にお伝えしました。
原野商法の被害者になってしまった場合で、相手が特定できていない場合には、まずは投資詐欺の事例に強い調査会社の無料相談をご利用ください。
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