値上がりの基礎となる事実がないにもかかわらず、土地が値上がりすると二束三文の土地を買わせる原野商法という詐欺があります。
社会問題となっている闇金のようなケースとは異なり、原野商法の悪質業者一覧として公開されている情報は存在しません。
しかし、平成18年9月3日東京都生活文化局が、原野商法によって被害を受けた人に対して虚偽の説明をして勧誘をしていたなどとして6社に対して行政処分を行ったことがあ ります。
このページでは、ここで処分をされた悪質業者と処分内容を一覧して確認していただいた上で、原野商法や、ここで問題になっている二次被害について考えてみましょう。
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Human Protect Advisor代表
齋藤 敦
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ヒューマンプロテクトアドバイザーの代表。約20年間警察官として勤務し、組織犯罪対策課で違法薬物や銃器の取締り、また、生活安全課でDV・ストーカー等様々な事件を数多く捜査し解決するなど刑事として警察捜査の裏まで知る。現在は独立し、パワハラ防止法の施行に伴う相談窓口の代行や著名人、芸能人、国会議員等の民間SPとして身辺警護や保育園、小学校等で防犯活動を行なっている。
東京都生活文化局が発表した原野商法の悪質業者一覧
東京都文化局が平成18年9月3日に発表した資料(現在は削除されているが、アーカイブとして、こちらに残っている)によると、次の事業者に指示・勧告がされました。
会社名 | 所在地 | 指示・勧告の内容 |
サワチューリゾート株式会社 | 東京都新宿区百人町1-18-9大久保センタービル5階 | 土地購入希望者を紹介すると持ちかけ、測量・整地契約を勧誘していた |
フィールディング通商株式会社 | 新宿区北新宿4-22-4 | 土地の境界確定のため必要などと虚偽の説明をし、消費者に接触を図っていた |
国土測量設計株式会社 | 千代田区六番町4-2グローリア初穂平野ビル5階 | 土地の境界確定のため必要などと虚偽の説明をし、消費者に接触を図っていた |
株式会社日本測量院 | 新宿区下宮比町1-7 | 土地の境界確定のため必要などと虚偽の説明をし、消費者に接触を図っていた |
協栄測量株式会社 | 新宿区四谷2丁目8番地クローバビル9階 | 土地の境界確定のため必要などと虚偽の説明をし、消費者に接触を図っていた |
株式会社ポリニア | 港区新橋2丁目2番2号 邦信ビル7階 | 土地売却の画期的な方法があるとして、不動産広告掲出の勧誘をしていた事業者 |
それぞれどのような事案か確認しましょう。
サワチューリゾート株式会社の手口
サワチューリゾート株式会社は、原野商法の被害者に対して、境界線について承諾が必要、永久杭埋設工事を行う、所有地の管理についてアンケートを行う、などの名目で接近していました。
そして、たまたま知人に消費者の土地近辺で購入を希望している人がいるから紹介し、土地の売買契約を当事者同士で締結させて、同時に測量や整地も必要と契約を迫ります。
測量・整地終了が終わった後に土地の売買は購入者が事情が変わったなどとして契約が不成立となる、という手口を用いていました。
フィールディング通商株式会社等の手口
以下の5社は同じ理由で処分がされています。
- フィールディング通商株式会社
- 国土測量設計株式会社
- 株式会社日本測量院
- 協栄測量株式会社
- 株式会社ポリニア
以下「フィールディング通商株式会社等」とします。
フィールディング通商等は、原野商法の被害者に対して、実際には近隣からの依頼がないにもかかわらず、「近隣の方から測量依頼があり、境界確定の立ち会いや承諾のため連絡が必要」という理由でDMを発送して、測量の勧誘を行っていました。
この行為は、特定商取引法が規定する、訪問販売において勧誘に先立って氏名・名称・勧誘にかかる商品の種類を明らかにする・不実のことを告げる行為をしない、という規定に違反するものでした。
中には900万円もの費用を払った人や、90歳でこのような契約をさせられた例もある悪質なものです。
株式会社ポリニアの手口
株式会社ポリニアは、原野商法の被害者に対して、「独自のシステムで売却する」「必ず売れる。」と説明し、実際には不動産広告掲出の勧誘をしたものです。
実際に業界紙などに広告を掲出したものの、広告がきっかけで売却に至ったケースはありませんでした。
原野商法の二次被害に対する注意喚起が広がっている
これら一連の行政処分は、原野商法の二次被害に対するもので、昨今原野商法の二次被害に対する注意喚起が広がっています。
原野商法とは
原野商法とは、利用価値のない土地に対して、リゾート開発計画などの噂を持ちかけて、不動産を高値で売りつけるタイプの詐欺をいいます。1960年代から1980年代にかけて全盛でした。
「詐欺」にも様々な種類の詐欺がありますが、その中の一つが無価値の土地を、実際には存在しない何らかの地価高騰の噂を持ちかけ不動産を購入させる「原野商法」があります。 この原野商法は昨今では原野商法の被害者から当該土地を買うふりをした二次[…]
原野商法の二次被害とは
原野商法の二次被害とは、原野商法の被害者となって不動産を所有している人に働きかけて行う詐欺です。
上述したように、原野商法の被害者の多くは1960年代から1980年代にかけて不動産を購入しています。
これらの被害者の多くが、すでに亡くなっていて相続人が無価値の土地を持っていて固定資産税を払っていたり、これから相続の準備をするのに終活の一貫として資産の整理をしている状況です。なんとかして売りたいという心理が原野商法の二次被害を発生させるに至っています。
原野商法の二次被害についての注意喚起が広がっている
原野商法の二次被害が広がっているため、様々な注意喚起が広がっています。
例えば、政府広報オンラインに2019年6月3日に掲載された「原野商法」再燃! 「土地を買い取ります」などの勧誘に要注意」では、実際の被害の実例や統計などとともに紹介されています。
他にも、下記のように自治体や国民生活センターなどから相次いで注意喚起がされています。
原野商法の被害にあった場合の対策
原野商法や原野商法の二次被害にあった場合にはどのような対策があるのでしょうか。
相手がわかっている場合
相手がわかっている場合には、契約の取り消しや、損害賠償請求などの法的手段を検討しましょう。
どのような方法が可能かは、状況により異なりますので、弁護士に相談することをお勧めします。
相手がわかっていない場合・相手が所在不明になっている場合
法的な手段があったとしても、それは相手がわかっている場合でなければ意味がありません。
相手がどこの誰だかわからない、名乗っていた会社の名前が架空の会社だった、相手が所在不明であるような場合、加害者の特定をなるべく早い段階で行う必要があります。
このような場合、調査能力の高い探偵・調査会社に相談・依頼して、加害者を特定するようにしましょう。
「探偵に騙された!」「ずさんな調査をされて高額請求された」 このようなお悩みを持つ方もいるでしょう。 探偵事務所には、詐欺や不貞行為の被害回復を求めて相談する人が多くいます。一方で、ずさんな調査や金銭トラブルにより、「騙された」[…]
まとめ
このページでは、原野商法の二次被害について、東京都文化局が平成18年9月3日に発表した資料に基づいて一覧にしたものと、その手口を中心にお伝えしました。
原野商法や原野商法の二次被害に該当するような被害にあった場合で、相手の会社などがわからない・実在しなかった・所在不明になっているなどで困っている場合には、早めに探偵・調査会社に依頼して加害者を特定するようにしましょう。
東京中央信用調査はインターネットを利用した犯罪など、高度な調査が必要なものについても特定能力を生かして解決へのサポートをしております。原野商法にお悩みの方は、まずは無料相談をご利用してみてください。
世の中にはいろいろな詐欺がありますが、詐欺にもトレンドがあります。
とても悔しいのですが、詐欺師は警察でも追いつけない速さで、彼らの持っている情報網を駆使して、今のトレンドを見抜き、学習して、様々な情報を蓄積し、その結果編み出された詐欺手法をいくつも練り合わせ、「今どこに」、「誰に」、「どうやって」使えば、より早くより簡単にお金を騙し取れるかを常に全力で考えています。
正直に言って、かなり優秀なプロ集団です。そして、今の詐欺のトレンドが「原野商法」です。時代の「ニーズの高まり」と「人の心理状態」が詐欺師にとって都合の良い状況になっているからです。
例えば、ご先祖様からそのままでは「使い道の無いような山」等を相続している方がSDGsの世界的高まりの中「ソーラーパネルを設置」すれば高く売れますと騙されパネル代を逆に支払ってしまうのです。
- 使い道の無い、価値のない山等を相続しただけで全く関心がない。
- SDGsの世界的関心の高まり。
- 価値のない山でも、価値が生まれ高く売れるかもという下心。
上記の内容を詐欺師は巧妙に利用してきます。
たまたま、良い取引相手と巡り合った?
高額な取引にほんの少しの「偶然」も入り込む余地はないのです。
まずは、価値は無いからと安易に考えず、「ご自分の土地や山の価値をきちんと把握」する事が対策の第一歩です。