価値のない土地について虚偽の説明をして高値で買わせる詐欺が原野商法です。
原野商法にあった場合や、過去に原野商法にあって無価値な不動産を持っていたところ、測量や管理費用などを理由にさらに金銭を請求する二次被害にあった場合には、どのように返金してもらうことになるのでしょうか。
このページでは、原野商法詐欺にあった場合に、加害者から返金してもらう方法についてお伝えします。
原野商法とは
原野商法とは、価値のない土地について虚偽の説明をして高値で買わせる方法の詐欺をいいます。
「詐欺」にも様々な種類の詐欺がありますが、その中の一つが無価値の土地を、実際には存在しない何らかの地価高騰の噂を持ちかけ不動産を購入させる「原野商法」があります。 この原野商法は昨今では原野商法の被害者から当該土地を買うふりをした二次[…]
原野商法の手口
どうやって価値のない土地を高値で購入させるのでしょうか?原野商法の手口を確認しましょう。
原野商法の対象になっている土地自体や山奥などの利用のしづらい土地で、居住に適していないことがほとんどです。
これらの場所に対して、
- リゾート地としての開発計画がある
- 高速道路が通る計画がある
- 新しい新幹線のルートになっている
- 大手飲料メーカーの水資源の開発地となる予定になっている
など、虚偽の土地の利用計画があるとして売却をしようとします。
通常は訪問するのも難しい場所にあるため、実際に行って確認することも難しいですし、実査に行けるような場所である場合は現地で別の場所に案内することもあるようです。
リゾート地としての開発計画がある場合には、
- 分筆登記を行ってあたかも開発計画があるかのような土地にする
- 土地の一部を芸能人などに無償譲渡してその不動産登記簿のコピーを見せる
といった手の込んだことをする者もいます。
さらに昨今では、中国人が購入して自分たちで好き勝手しようとしている、と愛国心に訴えかけて購入させる手口も発生しています。
原野商法は二次被害も発生している
この原野商法ですが、1960年代~1980年代に社会問題化しました。
この時期に購入した人の多くがすでに亡くなっている・高齢になっている、などで相続人が売却したがっている・遺産の整理をしたいと考えている人が多いです。
これらの人をターゲットにして、
- 土地の購入希望者がいるので測量をしましょう
- 独自の販売方法を確立している
- 私達が管理をします
などともちかけて、金銭を騙し取る二次被害が多発しています。
原野商法は詐欺である
この原野商法は法律上はれっきとした詐欺です。
民事・刑事の両面で確認しましょう。
原野商法は民法上の詐欺にあたる
原野商法は民法上の詐欺にあたります(民法96条1項)。
契約をする際には意思表示をするのですが、その意思表示は
- 値段があがる(動機)
- 買いたい
- 買いたいと伝える
という過程をたどります。
欺罔行為によって最初の動機が誤って形成された場合が民法上の詐欺として評価されます。
原野商法では、購入希望者は土地の値段があがるから購入すると考えるわけで、虚偽の説明によって値段があがると信じた場合には民法上の詐欺にあたるといえます。
原野商法は刑事上の詐欺にあたる
原野商法は刑事上も詐欺にあたります。
詐欺罪について規定する刑法246条は「人を欺いて財物を交付させた者」としています。
原野商法は、値段があがると欺いて金銭を出させているため、刑事上の詐欺にも該当する行為です。
原野商法の詐欺被害者がお金を取り返す方法
では二次被害も含めて原野商法の被害者になった場合お金を取り返すにはどのような方法があるのでしょうか。
不動産の売買契約を取り消す
法律上不動産の売買契約が残っている状態になるので売買契約を取り消す必要があります。
上述した民法の規定によると、民法上の詐欺に当たる行為については、取消をすることができます。
また、不動産の売買契約については宅建業法37条の8で、契約をしてから8日間はクーリングオフをすることができるようになっています。
さらに、契約の態様によって、特定商取引法や消費者契約法などでも取消をすることができることがあります。
ただ、契約を取り消しただけで、自動的にお金がかえってくるわけではないので、次のアクションが必要です。
加害者に対して金銭の返還・損害賠償を求めるのが原則
このような被害にあったときの法律上の原則は、加害者に対して取り消された契約に基づいて支払った金銭の変換を求めたり、損害賠償を求めるのが原則となっています。
詐欺をしてお金を得ようとしている者が相手なので、原野商法であると気づいた頃には相手の特定すら難しいことがほとんどです。
そのため、まずは加害者の特定をする必要があります。
会社が倒産して無くなっている場合でも代表取締役などの役員の責任を追求可能
契約相手が会社であって、金銭の返還を要求しようとおもっても会社がすでに無いというケースもあります。
このような場合には、ケースによっては代表取締役などの会社の役員の責任を追求することができ、金銭の返還を請求することができることもあります。
加害者が刑事事件として逮捕されれば返金の可能性はある
まず、加害者が詐欺で逮捕された場合には、残った資産や将来働いて返金するという可能性はあります。
刑事事件で逮捕された場合には、起訴されないように、起訴された場合でも情状酌量の余地があると判断してもらって刑事罰が軽くなるように、被害弁償をすることがあります。
ケースによっては親族に工面してもらって支払うこともあります。
これによって、被害金額を取り戻すことが可能となる場合もあります。
仲介をした宅建士に対して損害賠償請求を行う
売買契約の仲介を行った宅建士に対して損害賠償請求することも検討しましょう。
静岡地方裁判所平成31年1月30日判決では、原野商法の仲介を行った宅建士に対する損害賠償請求を認容しました。
宅建士が仲介し購入したような場合には、宅建士に対して損害賠償を求めることができる場合もあります。
二次被害者の場合
原野商法の被害にあって不動産を所有している人に対して、虚偽の購入計画に基づく測量をさせた場合や、管理費用の請求をしてきた者に対しても、同様に詐欺や特定商取引法などを原因として取消をした上で、金銭の返還を要求することになります。
原野商法の詐欺被害の相談相手は調査会社がお勧め
原野商法の詐欺被害にあった場合には弁護士か調査会社に相談しましょう。
弁護士に相談
弁護士は、原野商法の被害にあった場合に、契約を取り消して金銭を取り戻すための交渉・訴訟手続を依頼できます。
相手が特定できている間であれば、すみやかに弁護士に相談・依頼して、手続きを行ってもらいましょう。
ただし、相手はとっくに雲隠れしているケースがほとんどなので、その場合はまず探偵や調査会社への依頼をおすすめしています。
相手が特定できない場合はまずは探偵・調査会社に相談
相手が特定できないような場合には探偵・調査会社に相談して、まずは相手を特定してもらいましょう。
各種手続きをすすめるためにはどうしてもまず相手を特定する必要があります。
そのため、探偵・調査会社に相談してみましょう。
値上がりの基礎となる事実がないにもかかわらず、土地が値上がりすると二束三文の土地を買わせる原野商法という詐欺があります。 社会問題となっている闇金のようなケースとは異なり、原野商法の悪質業者一覧として公開されている情報は存在しません。[…]
まとめ
このページでは、原野商法という詐欺にあった場合の対応方法について、原野商法とはどのようなものか、二次被害などについてとあわせてお伝えしました。
原野商法の被害にあった場合に対応策をとるためには、まずは加害者を見つけて特定する必要があり、実はこの作業が困難を極めることが多いです。
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