年齢:62歳
まだ私の戦いは、終わっていません。
普通こういった体験手記は、すべてが終わってから書くべきものだと思います。
しかし、残念ながら私はまだ戦いの真っ只中にいます。もしかしたら、まだ戦いは始まってすらないのかもしれません。
今日は原野商法の詐欺被害者として、たとえ1人でも私の手記で被害を回避できればと思い、こうして筆を取りました。宜しくお願い致します。
北海道の山林を相続した35年前の夏
今から35年前。毛利飛行士が宇宙へ飛んだ年に、長年農家をしていた親父が大腸がんで亡くなりました。
盛大な葬儀のあと、私は親父がかつて購入した、北海道の田舎にある土地を相続しました。親父の故郷が北海道で、当時農家のつながりで顔見知りだった北海道〇〇(※)の職員が勧めてきた土地だったということです。
(※編集部注:小山内氏の手記には具体的な団体・組織名が記載されていましたが、情報提供者保護の観点より一部編集しています)
四十九日もそこそこに現地視察とかいって妻子を連れ、当時新しくなったばかりの、ピカピカの新千歳空港に降り立った事は今でも鮮明に覚えています。
私も土地持ちになったのだ、と感慨深いものがありました。家内も大層喜んでいましたが、何より私は息子が将来大きくなって、30辺りには嫁さんをもらい、その頃には地価も大変な事になっているだろうと思い描いていました。
今、大きくなった息子の手助けを借りて、こうして手記を書いているという情けない事になっています。
原野商法という爆弾ワード
さて、それから1年だったか2年だったかして、友人つたいで耳触りの悪い情報を聞くことになります。
ということを。
さらに
「そもそも土地を売れるような状況ではなく、資産価値も下落の一途をたどるばかり」
「北海道警察が捜査に乗り出したようだ」
という、今思えば噂のたぐいもありましたが、おおむね事実なようでした。
バブル、来ず!返り討ちの冬
何より親父から聞かされていた
という話が、全く来ないのですから、これは
と思う他ありません。
この時、すぐに弁護士に相談をし、弁護士の方の指示で親父と付き合いのあった不動産屋、業者などに当たりをつけ、金を返せと請求をしたこともありました。
しかし、
との事で、返り討ちにあったのです。
「詐欺」にも様々な種類の詐欺がありますが、その中の一つが無価値の土地を、実際には存在しない何らかの地価高騰の噂を持ちかけ不動産を購入させる「原野商法」があります。 この原野商法は昨今では原野商法の被害者から当該土地を買うふりをした二次[…]
20年後の勧誘
それから時は流れ、親父の二十三回忌の頃のことです。今から7年ほど前で、正直土地のことなど全く失念していたのですが、この頃を境に、自宅に手紙や電話が定期的に来るようになりました。
北海道の不動産会社を名乗る者からで
「30年ほど前に原野商法で土地を買わせる詐欺まがいの商法が横行した。それでご本人様か、もしくはご相続された方の土地を買い取るために、調査をしています。ぜひ一度お話だけでも聞かせてください」
という内容ばかり。
これだけ業者からの引き合いが来るということは、もしかしたら本当に土地の値段が上がったのではないか、と思ったものです。
何度かは電話を受けた家内も
と言ったので、その中でも比較的に信用できる不動産会社に電話をかけました。
すると
という返答です。
これは間違いなく、チャンスだと思いました。なぜなら、テレビで確かに当時、中国人が北海道の土地を爆買いしているという特集を見かけたことがあったからです。
そこで私が考えたことは、
ということでした。
そこで、
と持ちかけたのですが、結果的に断念しました。業者から
と言われたからです。
冗談ではない、
と断りました。
それから半年ぐらい、何度か複数の会社から同じ様な連絡があったり、面会依頼の電話がかかってきましたが、すべて丁重にお断りさせていただきました。
今春、再度の勧誘
先ほど述べた勧誘も落ち着き、それから8年ほどが過ぎた今年の春の日のことです。
この日はテレワークで自宅に居たのですが、自宅の固定電話が鳴りました。
と家内が言うので電話に出ると、なんと相手は8年前に断った不動産会社でした。
開口一番
と謝罪されました。
さすがの私も驚いて話を聞くと、つい先日に問題の北海道の土地の周辺で大規模カジノ造成の話が出て、それがほぼ決まったこと、世界情勢の影響で中国人が費用を負担してでも土地を今すぐ購入したいとのことで、中国人からの引き合いが大量に押し寄せているのだそうです。
そのため土地の価格が上がることが確実視され、その旨を説明したいと連絡してきたとのことでした。その説明を聞く中で、私はどうしても気になりました。
と聞くと、
とのことで、詳しい話をそのまま聞くことにしました。
業者の話によれば、例の土地の近郊には確かに数年前から大規模な野球場の新設が決まったり、その他にも北海道新幹線の札幌延伸にともなうJR札幌駅の改築・増築工事などがすでに一部始まっていたり、とにかく確変フィーバー状態。
そこに持ってきて北海道の某所がIR(統合型リゾート)建設の候補地に挙げられたことで、その瞬間から投資筋の人気が一気に高まったというのです。
そんな状況下において、不動産会社としては今回のカジノの話はまさに棚ぼた状態で、今後10年単位で考えると相当儲かる見込みなのだとか。
私はホウホウと話を聞きながら、手元のスマートフォンでニュース記事を探しました。すると確かに、小さい記事でしたが
といったものが見つかり、読んでみると、それはどうやら私の持っている土地の近辺で開発が検討されているらしいということがわかりました。
しかし、どうにも腑に落ちない点がありました。なぜ今、あの土地なのでしょうか。それを聞き出してみると、以下のような回答がありました。
という回答でした。
さらに業者からは
との説明も受けました。
極めつけは
という言葉です。ただ、
私からは業者へ
と言いました。
すると、担当者から
との言葉が帰ってきました。
業者との接触
翌々日のことでした。例の業者の担当者が自宅までやってきました。
先方から
と聞いてきて、私は
と答えました。
そういった経緯で訪ねてきた担当者に促され、私は売却の契約書にサインをしていました。
難しい登記作業は先方の司法書士さんがやってくれるということで、さらに費用の請求もないということでしたが、私は警戒して念の為、自宅には金目のものをおかず、いくらかの現金は金庫にしまいこみました。
業者も私の硬直した態度に
と、笑顔で終始低姿勢です。
ここまで言われると、私もこれ以上意固地になることもないと思い、ひとまず安心することにしたのです。
突然の請求書
それから少し経って、業者から書留で手紙が届きました。
とあります。
それによると
とのことです。もちろん、話が違います。
そもそも支払える額ではありません。もっと言えば支払い期日が翌日で、支払いがない場合は法律に則って強制的に取り立てを行う旨の記載もあります。
さすがに私も頭に血が上り、その場で電話を掛けると、担当の女性らしき人が電話に出て
と来ました。
私はそれから30分ほど、いかに私が業者に騙されてこの請求をされているのかについて熱弁をふるいました。相手方の反応としては、
とのこと。到底容認できず、文句を垂れると、そこから、今度は女性ではなく、男性の声が電話口に現れました。
といいます。
腹は立ちましたが、まずはあの担当者から折返してもらうよう告げ、電話を(手首のスナップを効かせて)叩き切ってやりました。
威力業務妨害?
10分ほどして、今度は法務担当を名乗る人物から折返しがありました。
何でも
とのことです。
そこで、私が
と問い詰めると、相手は
と言ってきたのです。
ここで私は
と思い、今思えばわずかにトーンダウンしたのだと思います。
法律論で返り討ち
私から
と伝え、謝罪しました。
また、その上で、先ほど話したように、自分の主張を改めて確認しました。すると、相手は
と言いました。
次に、相手は
と言い始めました。
そして、ついには私の逆鱗に触れる一言を口にしました。
というのです。冗談ではない!!私は
と食い下がりました。
しかし相手からは
というのです。
それならばと私からは
と伝えました。
すると・・・待っていましたと言わんばかり
と切り返されました。ここで話は今日現在に至るというわけです。
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これからどうすべきか
今、業者からは連日怒涛の支払い督促の電話や警告書が来ています。
家内もノイローゼ気味になり
と、とても心を痛めています。
おそらく、この不動産会社との話し合いは泥沼化することでしょう。そうなった場合は、法的手段に訴えたり、身の安全を守ったりと、やらなくてはならないことが沢山あります。
その中の一環として今回、私の被害を広く世間様へ公表し、こういった事案で泣いている方が各地で声を挙げてくれることを望んでいます。
原野商法、不動産詐欺に関するご相談は下記より可能です。