原野商法のような悪質な詐欺にひっかかった場合、よく消費者問題で耳にするクーリングオフはできないのでしょうか?
このページでは、原野商法の被害にあった場合のクーリングオフについてお伝えします。
原野商法とその二次被害がどのようなものか確認
クーリングオフの対象になるのかどうかを判断するために、まずそもそも原野商法がどのようなものかを確認しておきましょう。
原野商法とは
原野商法とは、山奥などの交通の不便なところにあって利用価値が無いような土地について、実際には存在しない値上がりなどの情報を伝えて土地を買わせる詐欺をいいます。
実際に発生したよくある例としては、
- 高速道路がこのあたりまで伸びる
- 新幹線のルートになる
- リゾート開発の計画がある
- 大手飲料メーカーの水資源の開発予定がある
土地を買わせたあとに例えば5年後に2倍で買い取ると約束するものの、実際には買い取ってもらえることなく連絡がとれなくなってしまいます。
「詐欺」にも様々な種類の詐欺がありますが、その中の一つが無価値の土地を、実際には存在しない何らかの地価高騰の噂を持ちかけ不動産を購入させる「原野商法」があります。 この原野商法は昨今では原野商法の被害者から当該土地を買うふりをした二次[…]
原野商法の二次被害とは
原野商法の二次被害とは、原野商法の被害者が会っている更なる被害のことをいいます。
原野商法の被害者に対して、
- 実際には居ないにもかかわらず購入を検討している人がいて測量・整地があれば紹介する
- 実際には必要ないにもかかわらず管理が必要である
- 実際には無いにもかかわらず画期的な販売ルートがあり必ず売れる
などと働きかけて、測量費用や管理費用を請求するものです。
2010年代からこのような詐欺が増え、政府や自治体・国民生活センターなどから注意喚起が繰り返されています。
クーリングオフとは
クーリングオフとは、有効な契約が結ばれた後に、特に条件をつけずにその契約を解約することをいいます。
たとえば訪問販売のように、突然自宅にこられて困惑した状態で契約をしてしまうこともあるでしょう。
このような契約をするのに正常な判断が難しいようなケースでクーリングオフが可能となっています。
原野商法におけるクーリングオフ
原野商法においてこのクーリングオフが可能な場合がいくつか存在します。
宅建業法37条の2のクーリングオフ
宅建業法37条の2は、宅建士がいる事務所以外のところでした不動産契約については8日間クーリングオフができることを定めています。
原野商法において、加害者の事務所とされる場所に出向いて契約したものでない場合(自宅や職場近く、カフェ・喫茶店など)であるような場合にはこの方法でクーリングオフをすることが可能です。
訪問販売・通信販売のような場合のクーリングオフ
訪問販売や通信販売によって売買契約を結んだ場合には、特定商取引法の規定によりクーリングオフができることになります(訪問販売:特定商取引法9条 通信販売特定商取引法15条の3)。
どちらもクーリングオフは8日間の期限が定められていますが、訪問販売・通信販売をする際に定められている法規制に違反している場合にはいつでもクーリングができるようになっています。
クーリングオフをする場合の手続き
クーリングオフをする場合の手続きを合わせてしっておきましょう。
クーリングオフについてはどのような手続きで行うかまでは規定されていません。
ですので、相手に電話で伝え、相手がこれを了承しても、法律上は問題ありません。
しかしこれでは業者側が「そのような連絡は受け取っていない」としらばっくれてしまうと、何ら証明する手段がありません。
そこで、クーリングオフをしたことを証明するために、内容証明を利用するのが実務上の通例です。
内容証明とは、郵便法48条に規定がある郵便で、書面の内容を証明してくれるものです。
内容証明は、郵便認証司がいる郵便局でのみ取り扱いがされているので、ホームページなどで確認しましょう。
記載にあたっては、余白や1枚に記載出来る文字の数についてのルールがあるので注意が必要です。
3通作成して1通が相手に、1通が証明をするために郵便局で保管、1通が送付する人に返却されます。
クーリングオフをした後の手続き
クーリングオフをした後の手続きはすでにお金を支払っているかどうかによって分けて考えましょう。
まず、契約を結んでいても、まだお金を支払っていなければ、そのまま手続きは終了です。
すでにお金を支払ってしまっている場合には、お金を返してもらう手続きを行います。
相手に任意で返すよう求め、相手が返してこない場合には民事訴訟を起こして強制執行を行います。
クーリングオフの期間を過ぎた場合の救済
クーリングオフの期間は非常に短く、クーリングオフでは救済を受けられない場合もあります。
その場合には次のような手段で救済を受けましょう。
取消・無効の主張
クーリングオフの適用がされなくても、原野商法については消費者契約法による取消や、民法による詐欺に基づく意思表示の取消などによって契約を取り消せることがあります。
また、原野商法については、民法95条の錯誤無効や民法90条の公序良俗に反するものとして契約が無効であると主張することもできます。
契約の形態によって、原野商法の売買契約はなかったと主張します。
交渉もしくは民事訴訟および強制執行
契約の有効性を否定した上で、交渉をしてお金を返してもらいます。
任意の交渉でお金を返してくれないときには、民事訴訟および強制執行を行って相手からお金を回収します。
ただし、原野商法の被害にあったことに気付いたときには、相手と連絡がとれなくなっていたり、会社の場合には消滅してしまっていて、交渉すべき相手の所在がつかめないことも珍しくありません。
そのため他の方法を考える必要があります。
原野商法に関係をした者に対して損害賠償を起こす
原野商法は一人でできるわけではなく、複数の者が関与しています。
そのため、現金を騙し取った者以外にも、金銭を請求できる場合があります。
過去の実例には、売買契約を仲介した宅建士や、パンフレットなどで広告塔となった芸能人などが挙げられます。
契約内容や契約の過程から関与した者がいる場合には、その人に対して損害賠償をすることで補填を受けられないか検討しましょう。
原野商法の被害や二次被害にあった場合、どのように解決すればよいのでしょうか。 詐欺の被害を解決する、という弁護士に相談するというイメージが強いものになりますが、ほかにも解決する方法はあるのでしょうか? このページでは、原野商法が[…]
刑事事件になった場合の被害弁償
原野商法はれっきとした詐欺です。
そのため、刑事事件になることもあり、実際に逮捕されている者もいます。
逮捕されると、起訴されない・起訴されたとしても情状酌量の余地ありとして罪に問われないようにするために、反省していることを示すことが多いです。
その一環として、被害者に対して被害弁償を行うことがあります。
犯人を逮捕してもらうためにも、被害者として刑事告訴や被害届の提出をしておくようにしましょう。
まとめ
このページでは、原野商法の被害にあったときに、クーリングオフが利用できるか、どのような事例で利用できるか、ということを中心にお伝えしてきました。
原野商法の被害にあった場合には、多くのケースでクーリングオフを利用することができます。
クーリングオフの相手がわからず、加害者の特定が必要であるような場合には、探偵・調査会社などに依頼をして、まずは加害者を特定することが不可欠です。
東京中央信用調査では加害者の特定に力を入れています。原野商法にお悩みの方は、まずは以下よりお気軽にご相談ください。